昨日(2020年12月9日)の報道ステーションでは、「豪州に眠る日本の発電量240年分のエネルギー」と題して、オーストラリアの「褐炭」について報じていました。川崎重工業によるプロジェクトで、日本に輸入する実証実験が2021年3月に始まるというのです。

この褐炭から水素を取り出すときに出るCO2は、CCS(CO2の地中貯留技術)によって大気中に出ないようにするそうです。しかしCCS技術はまだ完全に確立されておらず、数万年先までCO2を100%地中に貯留できるかの保証はありません。化石燃料(重油)を使って、水素を船ではるばる日本に運ぶのもカーボンフットプリントの見地から疑問です。

もう一つの水素製造法は、「水の電気分解」です。この場合、どんな電気を使うかが問われます。環境エネルギー政策研究所(ISEP)によると、2019年の日本の電源別発電量では、石炭と石油を合わせた火力発電が75%に達しています。

2019年(暦年)の自然エネルギー電力の割合(速報)

つまり、日本が進めようとしている水素社会は、今のところ大きく化石燃料に依存しているのです。

では、本当に環境負荷が低い水素とは何でしょうか。それは太陽光や風力など、自然(再生可能)エネルギーによる電気を使った水素製造です。例えばチリとオーストラリアなどでは再生可能エネルギー資源が豊富にあることから、他国に比べて大量かつ安価にグリーン水素を生産できる国として関心が高まっています。

両政府は水素に関する国家戦略を打ち出しており、グリーン水素の生産と輸出を強化することで、国際的な競争力を高める狙いです。(JETROサイトから

ISEPは、2019年の日本国内の全発電量(自家消費含む)に占める自然エネルギーの割合は前年の17.4%から18.5%に増加したと推計しました。2030年には、この割合を50%以上にしなければ、2050年の脱炭素は難しいと言われています。

自然エネルギーは、天候や気象条件によって出力が変わるため、大手電力会社は送電系統に接続することを嫌がる傾向にあります。であれば、系統につなぐのではなく、水素貯留の形で、自然エネルギーを活用する方法もありそうです。

結論的には

1)現在の水素製造は化石燃料に依存していること

2)化石燃料を掘り出して水素利用するのは、わざわざ地中に固定されている炭素を空中に放出するのと同じこと

3)真の「水素社会」を実現するには、「グリーン水素(再生可能水素)」が不可欠――ということです。行政も企業も、水素社会を提唱するのであれば、これらの点から目をそらさないでもらいたいものです。

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