日銀レポートにみるESG金融の課題と意義

日本銀行が発表したレポート「SDGs/ESG金融に関する金融機関の取り組み」には、ESG金融の定義や取り組む意義、課題が記載されている。どのようなことが書かれているのか見ていこう。(オルタナ総研コンサルタント=室井 孝之)

日銀が発表したレポート「SDGs/ESG金融に関する金融機関の取り組み」

「ESG金融」の定義を「企業分析・評価を行ううえで長期的な視点を重視し、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)情報を考慮した投融資行動をとることを求める取り組み」としている。

「SDGs/ESG金融に取り組む意義」について、「企業イメージが向上し、多様性に富んだ人材確保につながる」「社会課題対応は経営リスクの回避、社会への貢献、地域での信頼獲得につながる」「SDGsへの対応が持続可能な経営を行う戦略として活用できる」「取り組みを契機に地域との連携、新しい取引先や事業パートナーの獲得、新事業創出などイノベーションやパートナーシップを生む」と強調している。

「ESG金融の今後の課題」には、「経営への統合」「取組みの実効性を担保する組織体制、仕組み」「組織全体への意識浸透(一人ひとりが自分ゴトとして動機付けられるか)」「社会課題解決と両立する収益機会の発見」「リスク点検への活用」「対外的な情報発信、コミュニケーション」を掲げた。

PRI署名数は3000団体超

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室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

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