石井青果、食ロス対策で廃棄野菜のフードパウダー

青果卸の石井青果(千葉県いすみ市)は食品の廃棄ロス削減対策として、規格外の野菜や果物をフードパウダーやジュースに加工して販売する事業を1月に開始する。製品は「ナチュLABO」と名付けてブランド展開する。国内で廃棄物として処分されている年間200万トンもの野菜や果物の廃棄ロスの課題に挑む。

異例の事業ベースでの取り組み

食品ロス問題が日本国内だけでなく世界的な問題となっている昨今、家庭から廃棄される食品廃棄物以上に深刻なのが、流通の流れで生じる返品など事業から廃棄される食品ロスだ。とりわけ、スーパーマーケットなどの小売業で販売しづらい、サイズや重さが異なる「規格外」とされる野菜や果物である。食品としての品質は十分備わっているのに、家庭まで届かないまま農家や市場で破棄されてしまうという。

石井青果社長の石井洋さん

「もともとは八百屋である青果卸がこうした規格外のものも買い付け、店頭で自分たちをよく知る顧客に対してひとつずつ売っていた。しかし、現在では八百屋の数も減っている上、生産者が直接、消費者に販売する『直売所』の様な場所でも、見かけの良いものや形の揃ったものが求められる傾向があり、不揃いで見慣れないものは売れ残ってしまう」と話すのは、千葉県いすみ市で青果卸を営む有限会社 石井青果の石井洋社長だ。

スーパーマーケットでの買い物が一般的になり、八百屋や果物屋がなくなっていく一方で、生産における規格外の野菜や果物がなくなることはない。「25年前にこの業界に入って以来、規格外野菜による食品廃棄の問題は全く改善されなかった」と石井さんは続ける。

しかし、昨今のようにSDGsへの取り組みが熱を帯び、食品ロス問題についても注目が高まる中、規格外の野菜や果物を加工し、フードパウダーやドライフルーツ、ピューレと言った加工品にすることでフードロス対策へつなげたいと思うようになったという。そして、莫大な資金を投じて、青果卸としては異例の「事業」としてこの食品加工事業へ足を踏み込んだ。

生産地表示付き加工品が生む価値

teramachi

寺町 幸枝(在外ジャーナリスト協会理事)

ファッション誌のライターとしてキャリアをスタートし、米国在住10年の間に、funtrap名義でファッションビジネスを展開。同時にビジネスやサステナブルブランドなどの取材を重ね、現在は東京を拠点に、ビジネスとカルチャー全般の取材執筆活動を行う。出稿先は、Yahoo!ニュース、オルタナ 、47ニュース、SUUMO Journal他。共同通信特約記者。在外ジャーナリスト協会(Global Press)理事。執筆記事一覧

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