石井青果、食ロス対策で廃棄野菜のフードパウダー

どの加工品も、食品メーカーでも生産しているものだ。ただ、石井青果が生産する製品との最大の違いは、メーカーは安定した大量生産のために契約農家・農園から材料を調達しているのに対し、石井青果の製品は規格外の野菜や果物が原料のため、産地や生産量が不安定になってしまう。

にんじんやビーツなど、カラフルな野菜からできたナチュLABOのフードパウダー

しかし、「◯◯品種」、「◯◯産」や「◯◯農家で作られた」と言った特定の生産地や品種を記載することが可能になるため、商品作りで付加価値がつけられるようになるという。例えば、アイスクリームを例にすると、イチゴアイスの代わりに、「とちおとめアイス」といった品種名を冠した商品名が可能になる。

すでにラーメン店やジェラート店、ベーカリーなどから、供給開始次第、フードパウダーやピューレを仕入れたいという事業者からの問い合わせが寄せられているという。中でも、パンやアイスクリームに練り込むフードパウダーは、これまで国内で流通しているものは外国産がほとんどだったが、石井青果のブランド「ナチュLABO」から販売される商品は正真正銘の国産となる。

「ほぼ1年を通じて廃棄野菜がなくなることはなく、産地が変わることはあっても扱い切れないほど市場にあるのが現状だ」と話す石井さん。ただ、産地が変わる度に工場の機械は全て洗浄して生産体制を組み直さねばならず、手間ヒマはかかる。それでも「流通背景を分かっている八百屋こそ、この事業に乗り出すべき存在だ」と強調する。

新型コロナの蔓延により事業開始時期に遅れはあったものの、21年1月から工場での本格生産を始めるメドが立ったという。製品は食品事業者向けにオンラインで全国へ販売する予定だ。

teramachi

寺町 幸枝(在外ジャーナリスト協会理事)

ファッション誌のライターとしてキャリアをスタートし、米国在住10年の間に、funtrap名義でファッションビジネスを展開。同時にビジネスやサステナブルブランドなどの取材を重ね、現在は東京を拠点に、ビジネスとカルチャー全般の取材執筆活動を行う。出稿先は、Yahoo!ニュース、オルタナ 、47ニュース、SUUMO Journal他。共同通信特約記者。在外ジャーナリスト協会(Global Press)理事。執筆記事一覧

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