売り上げ規模をもう少し詳しく分析すると、トップのローカルベンチャーは4億円、2位と3位は3億円に達している。業種別では林業、食品加工、IT、建築設計が上位を占める。2019年度では半数が1,000万円以上でスケール感十分だ。
どんな人たちが、この事業に挑戦しているのだろうか? 地元にずっと住んでいる人かと思ったらそういう人は20%しかいない。Uターンが12%、Iターンが54%もおり、都市から地方への人の流れが生まれているのがわかる。
男女比は2対1。年代は30代が最多で、40代、次いで20代の順になっている。ある程度の社会経験を経ての起業という実態がうかがえる。
この事業が、社会起業家を多数輩出してきたETIC.ならではのノウハウが支えていることは確実である。しかし、ビジネス経験があり、専門性を持つローカルベンチャー予備軍が存在するからといって、それだけではうまくいかない。
言葉にすれば「官民協力」といういささか陳腐なものになるが、地方に入っていこうとした時、自治体の支えは不可欠だ。資金だけでなく人とのつながりを作り出せるのは地元以外にはないからだ。また、都会から来る人には警戒心も強いし反発もある。間に入って仲を取り持つ存在、つまり地域の中間支援組織が必要となるわけだ。
この事業を始めるにあたり、ETIC.が自治体との連携、中間支援組織の重要性を打ち出した理由はそこにある。真の官民パートナーシップこそ、ローカルベンチャー支援が長期に持続可能となるベースといえるのである。