ビジネスとソーシャルビジネスは、何が違うのか

ソーシャルビジネスの目的となる「社会問題の解決」に関する内容が、ビジネスコンセプトには含まれていませんよね。ソーシャルビジネスをつくるには、最初に、「社会問題を解決するためのコンセプト」を明確にする必要があります。

では、最初に考えるのは何かというと・・・。

こちらもキーワードは3点。「現状」「理想」「社会ソリューション」です。

ボーダレス・グループでは、これを「ソーシャルコンセプト」と言って、ソーシャルビジネスを描く際に、必ず最初に考えるものとしています。

ソーシャルビジネスでは、ビジネスコンセプト以前に、ソーシャルコンセプトを具体的に設定することが重要

まず「現状」で、社会問題を具体的に捉えます。社会問題に直面している「当事者」が、どんな「状況」に陥っているのか、そして、その状況が生み出されている「本質的な原因」が何かを捉えます。

社会問題は、大きい問題だと抽象的に捉える人が多いのですが、一人ひとりの個々人が直面する問題の集合体という視点で捉えるのがコツです。具体的な一人にフォーカスして、リアルな状況を深く掘り下げていくことで、状況やその原因を明確にすることができます。

次に「理想」ですが、社会問題が解決された結果、当事者がどうなったら幸せなのか=成功の定義を描きます。この理想は、実はソーシャルビジネスで実現したい社会像そのものであり、その事業のビジョンとして仲間と共有できます。

ソーシャルビジネスとは、「取り残された人々や状況をも含めて、新たな社会を再構築するビジネス」と前回のコラムで書きました(前回の記事はこちら)。まさに、当事者を巻き込み共に助け合う新たな社会がどんなものなのか、を描き出すことがポイントです。

そして最後に「社会ソリューション」。社会問題を生じさせている本質的な原因を解消し、現状と理想のギャップを埋める「解決法」を定めます。ここで大切なのは、これまでの常識、先入観、既成概念を捨てること。

社会問題解決を「おまけ」にしてはいけない

masayoshi suzuki

鈴木 雅剛(ボーダレス・ジャパン副社長)

株式会社ボーダレス・ジャパン 代表取締役副社長 1979年山口県出身。大学時代、やる気なくつまらなそうに働くバイト先の人々や、働きたくても働けない人々の存在を目の当たりにし、「世界で一番働きたい会社をつくる」ことを志す。現在は、社会問題の解決と同時に、仲間やその家族の幸せを実現する「いい会社」を増やし、世界へと拡げていくために、経営手法や共同体の仕組みづくりに取り組み、13カ国35のソーシャルビジネスを展開している。

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