5年で3万人が失踪、外国籍人材を定着させるには

外国籍人材を雇用する企業が増えている一方で、職場で不当な扱いを受けるなどの理由から2014年から2018年の5年間で約3万人が失踪している。これらの労働問題を背景に、ビザ申請支援などを行うスタートアップone visa(ワンビザ、東京・台東)は日本初の外国籍人材の活躍事例を表彰するアワードを開いた。応募総数100社超のなかからグランプリには、ロボットパッケージの製造販売などを行うロボコム・アンド・エフエイコム(東京・港)が輝いた。

グランプリに輝いたロボコム・アンド・エフエイコムの天野眞也社長

同アワードの名称は「Global one team Award」。国内企業を対象に外国籍人材の活躍にスポットを当てた。エントリーを公募したところ、開催初年度にかかわらず100社超から応募が集まった。

審査の結果、東京都に本社を置くロボコム・アンド・エフエイコムが最優秀賞とオーディエンス賞をダブル受賞した。

同社は福島県南相馬市に工場を構え、ロボットパッケージ製造販売事業、3Dプリンタ事業などを営む。ベトナム人を中心に14人の外国籍エンジニアが在籍している。外国籍人材の受け入れにまつわる取り組みを仕組み化し、ほかの企業・チームにも再現性のある形で実施している点が「Global one team」のロールモデルとして特に評価された。

同社では外国籍の社員は日本人の設計チームにそれぞれ個別に配属されており、日本語や日本文化、業務上の質問を気軽に聞くことができるマンツーマン体制を設けている。その仕組みにより、日本人の若手社員がリードする人材として成長を遂げているという。

せっかく来日したからには定着してほしいという天野眞也社長の想いから入社後4年間は社宅を提供、光熱費を含め全額を無償にしている。年に1回自国へのフライト代金を会社負担で利用する権利も付与している。

外国籍人材への技術伝達の際には、日本人相手の「阿吽(あうん)の呼吸」は通用しないことを認識し、すべて言語化・仕組み化して社内に残すフローを徹底した。その結果、正しく伝えることができ、消えゆく運命にあった技術知識もアーカイブできるようになったと天野社長は語った。

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナS編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナS編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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