2035年までにハイブリッド車を含むエンジン車の販売を全面禁止する英国が、50年前に廃線になった鉄道2路線を2025年までに復活させるため、合計7億9400万ポンド(約1130億円)の予算配分を決めた。新型コロナで3度目のロックダウンが続く同国ではリモートワークも定着しつつあり、生活費が安い郊外の人口増見込みも廃線復活の追い風になった。
![](https://cdn.alterna.co.jp/wp-content/uploads/2021/01/23170237/Angel_of_the_North_2-10-14-530x275.jpg)
英国では1960年代後半に全国的な鉄道網の見直しが行われ、多くの路線が廃線となった。しかし脱炭素化を目指す英国政府は、数年前から自家用車よりも環境に負荷が少ない鉄道の効果的な再運用について検討を進めてきた。
その一端として、廃線ルートを蘇らせようとする動きがスタートしてはいたが、コロナ禍によるさまざまな要素が追い風となり実現への速度が急に早まった。
その要素の一つは廃線復活プロジェクトが、コロナで大きな打撃を受けた雇用を回復するためのサステナブルな開発事業の一つと目されたことだ。また、英国ではロックダウンが続く中リモートワーク勤務が定着しつつある。このため不動産価格も生活費も安い郊外エリアへの移住が盛んになり、鉄道路線が復活した場合の採算見通しが上向きとなったことも挙げられる。
今回予算配分が決まった路線は2カ所。一つは北東イングランドのノーザンバランド・ラインで、1964年に廃線となったニューキャッスルとアッシングトンを結ぶルートが復活する予定だ。
すでに確保していた予算の増額という形での配分に、地元自治体では2024年の開通に自信がついたと語っている。ニューキャッスルは、炭鉱や造船業などの衰退によって長らく停滞していた北東イングランドにおける経済再生の要となる都市だ。
英国政府が2020年秋に発表した「グリーン産業革命」が掲げる脱炭素化への取り組みにも含まれる「鉄道網の整備」によって、都市と周辺の町村をサステナブルに繋ぐという計画は首都圏からの移住先を模索する人々からも注目を浴びている。
![](https://cdn.alterna.co.jp/wp-content/uploads/2021/01/23170230/Roger-Cornfoot_The-railway-yards-at-Ashington-colliery-530x359.jpg)