現地の作り手一人ひとりと岡本氏の考えを共有することは至難の業だった。ケニアではかごに穴が開いているなど日本では品質が悪いと思われる商品でも、市場で売ることができるからだ。作り手たちは、自分が作った製品の品質を低く評価されると「意地悪をされている」「ケチをつけられている」と感じてしまう。

ケニア・マチャコスの作り手たち

サイザルかごを日本基準や世界基準の製品として販売するために、岡本氏は30ページにおよぶ製作マニュアルを作った。染色からかごの成形に至るまで細かく記し、作り手一人ひとりが目指す品質を明文化した。また、簡易な生産工程を維持することで、就学・就業経験の無い人や高齢者を含め、誰でも参加できる仕組みを作ることができた。

岡本氏が年に数回、現地を訪れる際には、作り手たちに日本の店舗や販売している商品の写真を見せ、日本で求められる品質を共有している。記録しておいた日本国内の買い手からの意見を、作り手それぞれに良いことも悪いことも含めて直接伝えている。

岡本氏は「作り手がどれだけ増えても一人ひとりに向き合える体制をつくりたい」と言う。事業の立ち上げから守り続ける理念をケニアの作り手と日本の買い手に発信していくつもりだ。

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