■コロナ禍で浮彫りになったリーダーの姿と市民社会

中国・武漢で原因不明のウイルス性肺炎の最初の症例が確認され、ほどなく「新型コロナウイルス」と特定された。みるみるうちに感染拡大が起こり、世界中の国々が次々とロックダウンへ突入。一年余りが過ぎた今も、人類史に残るパンデミックとなり、私たちは極端な生活様式の変化や経済活動の停滞を強いられている。

『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社新書)イギリス、フランス、ドイツ、ベルギー、スウェーデン、アメリカ、ニュージーランドに在住歴の長いライターたちが、コロナ禍での各国のリーダーの姿を、現地ならではの情報をもとに分析している。(ギリシャ・アテネ=有馬めぐむ)

『コロナ対策 各国リーダーたちの通信簿』(光文社新書、栗田路子、プラド夏樹、田口理穂ほか)

ジョンソン英首相は、「道化師」のイメージとは裏腹に、数カ国語を操り、古典や歴史にも造詣があるインテリだ。当初は大きな危機感は持たず、経済優先的な発言が目立った。しかし事態の急激な悪化、自身も感染して死の淵を彷徨ったことなどにより、その政治に謙虚さが加わっていく。

「スーパーエリート」であるマクロン仏大統領。当初、勇ましく 「戦争司令官」を名乗り、上から目線の命令口調で市民に演説していた。だが貧困者の多い地域の人々の声や、医療崩壊寸前の状況で必死に救命にあたる医療従事者たちの訴えに心を動かされ、政府の準備不足を反省し、人間味に溢れた語りかけを行うようになる。

メルケル独首相が、テレビで演説した内容は、私が住むギリシャでも大きな反響を呼んだ。科学的知識に裏打ちされた彼女の丁寧な説明は、市民一人ひとりへの共感にも溢れ、広く人々の心に届いたのだ。音楽や芸術なども含めた多岐に渡る分野への迅速な援助を行うなど、卓越した指導力を見せた。

時には冷徹に、傲慢にも見えるこれら大国のリーダーたちは、未曾有の危機のなか、試行錯誤しながら市民に語りかけ、自身の対策が間違っていると思ったら軌道修正もした。それに対する各国の専門家や市民の反応なども興味深い。

小国ベルギーは二度も最悪の数値を出し注目されたが、臨時女性首相を務めたウィルメス氏は市民目線で丁寧な説明を尽くし、共感や連帯の大切さを説いた。厳しい都市封鎖を行わず、独自路線と注目されたスウェーデン。その市民生活の実態、徹底した専門家ファースト、持続可能な対策を追求する社会のあり方は興味深い。

■リーダー次第で連帯も分断も生まれる

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