環境・倫理・デジタル化、ポストコロナの企業経営

次に、Dr. Maxim Storchevoy(Associate Professor, HSE University, Russia/Director of Russian Business Ethics Network)から報告が行われました。

ロックダウンにより、特定の産業がとりわけダメージを受け、公的機関に比して民間企業は著しい減収に直面し、柔軟性に欠ける法システムのために契約における公平性は損なわれてしまいました。

こうしたロックダウンのジレンマを克服するためには連帯―すなわち脆弱な主体に対する配慮と便益の分配が重要です。雇用契約、不動産契約、航空券の払い戻しを例にとって、各国で行われた取り組みとロシアの取り組みを比較してみると、ロシア政府は対応が遅く支援施策が少なかったことが分かりました。

パンデミックによる様々なリスクをいかに緩和することができるか、倫理の役割を検討すると、倫理文化が備わっていた企業では社員の勤務状況を監視するのではなく心理的支援を提供しましたが、そうでない企業では社員監視用のデバイスを導入したり、詳細な日次報告書を提出させたり、日に何回も不必要な会議を行ったり、攻撃的なコミュニケーションを行ったり、勤務日と休日の境目がなくなったりしたことでリモートワークにおける揉め事やパワハラなどの深刻な問題が起きたといいます。

今後、企業には倫理文化が、市場には協調姿勢が、社会には連帯が求められる、との指摘がなされました。

タイ、プラットフォームビジネスが潮流

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム事務局)

原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。

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キーワード: #サステナビリティ

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