報告後の議論は「セクター間の協働やステイクホルダーとの協働が大切になるとの指摘があったが、どのように協働関係を構築していけばよいだろうか?」との問いからはじまり、次のような意見交換がなされました。

「政府によるイニシアティブが大切だと考える」「企業経営者がオーナーシップをもって社会的課題に取り組むことが重要である。責任あるリーダーシップにより、従業員のモチベーションを高め、生産性を高めて、サステナビリティにも取り組むことが必要だ」

続いて「ESGに取り組む各国の金融セクターはどのような状況にあるか?ビジネスの推進力になっているか?」との問いについては「インドネシアでは上場企業に対しサステナビリティ報告書を求めてきたが、企業側が規制に従うだけになっている。すべきことが多すぎて報告書に載せないケースや発行を1年遅らせるケースもあり、悪夢のような状態も生んでいる。銀行はビジネスモデルを変えようとしている」「韓国の新しいニューディール政策はESGに焦点を当てている。中国はインドやベトナムと同様、強い規制をもってESG投資によいコミットメントしている」との応答がなされました。

「パンデミックは消費者と投資家の価値観にも変化を生んだのでは?」との問いに対しては「投資家だけでなく全てのステイクホルダーの価値観の変化を生んだと言えるだろう。バリューチェーンへの影響が深刻だった。長いサプライチェーンはローカルサプライチェーンをどう守れるかが課題になる。投資家はレジリエンスを考える必要に迫られている。こうした想定不能な事象は新型コロナウイルスにとどまらない。気候変動も同様である。ポストコロナ時代にはステイクホルダー間での協働が必要不可欠だ」との見方が示されました。

「SDGs推進のために何がベンチマークとなるか、どのGoalが最も重要か?」との問いに対しては、「SDGsは政府、投資家、一般市民にとってモーニングコールのようなものだ。17のゴール全部をカバーすることはできない。1つか2つの解決策をコアコンピタンスとして設定して測定することが重要だ」「17のゴールは相互に関連し合っている。各自が最重要課題を設定して取り組み相互協力していくべき」「SDGsは政府によるコミットメントである。ビジネスセクターにとってはリスクと機会がある。戦略とKPIを設定していくべき」「たくさんのSDGsに取り組まなくてもよい。1つだけでも良いから、ビジネスを通していかにインパクト生み出したかを情報開示すべきである。インパクトを生み出せていなければイノベーションが必要だ」との意見交換がなされ、今後、各主体がSDGsの17ゴールの内1つでもしっかりと取り組みポジティブインパクトを生み出すことができれば、セクター間の協働によりサステナビリティの達成に向けて前進できることが指摘されました。

ポストコロナ時代のサステナビリティ経営にかかる今回の国際的議論を踏まえ、本学会では引き続き3月6日に、日本におけるポストコロナと持続可能な「企業と社会」をテーマとするオンラインシンポジウムを開催致します。開催趣旨、参加費、申込方法などの詳細はこちらを参照ください。


齊藤 紀子(企業と社会フォーラム(JFBS)事務局長)
一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR活動の支援・普及啓発業務に従事した実務経験をもつ。

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