同調査ではパート・アルバイトのうち、「シフトが5割以上減少」かつ「休業手当を受け取っていない」人を「実質的失業者」と定義し、今回の調査結果および総務省「労働力調査」を用いて推計したところ、2021年2月時点で、全国の「実質的失業者」は、女性で103.1万人、男性で43.4万人にのぼった。
昨年12月の調査に基づく推計からの約2か月の間に1割強、「実質的失業者」が増えたことになる。なお、ここで定義した「実質的失業者」は、一般的に、統計上の「失業者」にも「休業者」にも含まれない。
総務省統計局のデータによると、2021年1月時点での完全失業者数は197万人で前年同月に比べ38万人、12か月連続の増加となっているが、この数値には「実質的失業者」は含まれていない。仮に「実質的失業者」を加えると約343万人となり、完全失業者数の1.7倍強の人が実質的に職を失っていることになる。
■経済的支援制度の周知や就労支援が重要に
同調査によると「実質的失業者」の約5割(女性53.1%、男性51.8%)が「シフト減でも休業手当を受け取れること」や「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」のことを知らなかった(今回はじめて知った)と回答した。
休業支援金を知らなかった「実質的失業者」のうち、「今すぐにでも支給を受けたい」と回答した人は、女性で40.2%、男性で47.0%にのぼった。そしてシフト減のパート・アルバイト、女性で5割、男性で6割が「新しい仕事を探したい」といい、うち8割が現在と異なる職種への転職を希望または許容すると回答した。
今回の調査では、業種によるシフト減の差については触れられていないが、飲食業や旅行業、宿泊業などコロナ禍の影響を直接受けている業種、一方でスーパーやホームセンターなど逆に売り上げを伸ばした業種との差も大きい。また年齢層によっても差がある可能性も否定できない。
経済的支援制度について依然知られていない実態への対策や、異業種への転職を促進するための就労支援などより多くのチャンネルを行政、民間を問わず整備することが一層求められる。