投資家も注視する「栄養」、食品会社に改善促す

新型コロナウィルスの蔓延への不安を受けて、人々の生活様式に多くの変化をもたらした。私たちの食生活もその一つだ。日本においても家で過ごす時間が増えたため、また免疫力を上げたいという思いから、自らの食生活のあり方を見直す機会となった人もいるだろう。(岸上 有沙)

しかし、自炊をしている場合においても、出来合いの調味料、ソースや具材を利用することもあるかもしれない。たまにはチェーン店でのテイクアウトやイートインを利用することもあるだろう。

栄養の過剰摂取と栄養不足。これらの「栄養不良」の両側面はどの国にも存在し、それによって肥満や過体重に悩まされる人も、不可欠なビタミンやミネラル不足になっている人も、それぞれ20億人以上存在すると推計されている[1]

この栄養の不均衡な摂取は、私たちの日々の生活に、仕事に、決して無関係なことではない。

健康志向の消費者が増える一方で、パッケージ化された食品から摂取するカロリーは先進国や新興市場国に関わらず増えている。栄養バランスが考慮されたものであれば、パッケージ化されて商品であっても、さほど問題にならないだろう。

しかし、多くの場合は脂肪、塩分、砂糖等が過剰に入っており、また、その内容物を判断する商品表示も限られている。これでは、知らず知らずに栄養不良となる可能性も高まってくる。

OECD諸国の中で比較的栄養不良の状態が少ない日本においても、15~49歳の女性の鉄分不足による貧血症状が21.5%と増加傾向にあり、肥満の影響も増加傾向にある[2]

過体重は、医療予算を膨らませて生産性を下げる

kishigami

岸上 有沙

2019年4月よりEn-CycleS (Engagement Cycle for Sustainability)という自らのイニシアチブの元、各種講演のほか、Responsible Investor でのコラム執筆、J-SIF運営委員、AIGCCワーキンググループ等を通じて、ESG投資やサステナビリティに関連した企業・投資家行動とグローバル発信の促進に携わる。2007年よりESGとサステナブル投資に従事し、ロンドンでの勤務を経て2015年より東京に異動。FTSE Russellのアジア環太平洋地域のESG責任者として、企業との対話(エンゲージメント)、ESGインデックスやレーティングの開発と管理、及び機関投資家のスチュワードシップ活動の実行に関するサポートを務めた。慶応義塾大学 総合政策学部卒、オックスフォード大学にてアフリカ学の修士号取得。執筆記事一覧

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