■2030年に100自治体でカーボンゼロ実現■

内閣官房は6月9日に開いた第3回「国・地方脱炭素実現会議」で、2050年カーボンニュートラルを目指すための「ロードマップ」をとりまとめた。「地域脱炭素ロードマップ」だ。2050年にカーボンニュートラルを目指す上で地域の課題や対策などをまとめたもので、2030年までに100の自治体でCO2排出実質ゼロを目指すことや脱炭素の基盤となる重点対策として、「自家消費型太陽光」や「省エネ住宅」などを全国に普及させることを盛り込んだ。(オルタナS編集長=池田 真隆)

「2050年を待つ前に、2030年の時点で、全国で脱炭素ドミノの勢いを起こす。そのためには、2025年までの5年間が勝負だ。このロードマップをもとにあらゆる政策を駆使して、ゼロカーボンエリアをつくっていく」

環境省の中井徳太郎事務次官は、気候非常事態ネットワーク(委員長:山本良一)が6月4日にオンラインで開いたイベントに登壇して、こう発言した。

環境省では今年に入り、2050年にカーボンニュートラルを目指すため、脱炭素にまつわる地域の課題や対策などを話し合う会議を開いてきた。再エネ事業者や自治体、気候変動に関心が高い高校生などを招き、ヒアリングを重ねてきた。

今回公表した地域脱炭素ロードマップは、この会議を受けてまとめたものだ。6月9日に官邸で開かれた国地方脱炭素実現会議第3回会合で、小泉環境相が発表し賛同を得た。このロードマップをもとに、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、あらゆる政策を総動員していく。

このロードマップの重要ポイントは3つある。

①   一人一人が主体となって、今ある技術で取り組める
②   再エネなどの地域資源の最大限に活用することで実現できる
③   地域の経済活性化、地域課題の解決に貢献できる

このロードマップでは、特に2030年までに集中して行う施策を中心に、地域で脱炭素をしながら成長していく戦略と具体策を示している。

主な方針としては、「2030年までに脱炭素先行地域を100カ所以上で実現」「自家消費型太陽光や省エネ住宅などを全国で実行」がある。

脱炭素先行地域については、自治体や地元企業・金融機関が中心となって、地域課題を解決し、住民の暮らしの質を向上しながら脱炭素に向かう先行的な取組を国が後押ししていく。具体的には、地域特性や気候風土に応じて、再エネ、省エネ、EV/PHEV/FCVの利用、カーボンニュートラル燃料の使用など適切な対策を組み合わせて実行する。

脱炭素の基盤となる重点対策としては、下記の8つが挙げられた。

①屋根置きなど自家消費型の太陽光発電
・政府及び自治体の建築物及び土地では、2030年には設置可能な建築物等の約50%に太陽光発電設備が導入され、2040年には100%導入されていることを目指す。
②地域共生・地域裨益型再エネの立地
・改正温対法を活用した地域共生・裨益型再エネ促進
・風力発電の特性に合った環境アセスメントの最適化等
・地熱発電の科学的調査実施を通じた地域共生による開発加速化
③公共施設など業務ビル等における徹底した省エネと再エネ電気調達と更新や改修時のZEB化誘導
④住宅・建築物の省エネ性能等の向上
⑤ゼロカーボン・ドライブ(再エネ×EV/PHEV/FCV)
⑥資源循環の高度化を通じた循環経済への移行
⑦コンパクト・プラス・ネットワーク等による脱炭素型まちづくり
⑧食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立

地域で脱炭素を進めていくには、主役となるプレーヤーは国ではなく、地域だ。自治体・金融機関・中核企業等が核になって、多様な企業や公共セクターと連携する体制が、地域脱炭素のエンジンになる。

こうした体制を構築する上で、国としては①エネルギー・金融に知見を持つ人材派遣・研修②REPOSやEADAS、PLATEAU、地域経済循環分析ツールなど、デジタル技術も活用した情報・ノウハウ③資金の観点(ESG地域金融の案件形成や体制構築支援など)から、継続的かつ包括的に支援する

今国会で成立した温暖化対策法改正法案を活用し、未利用の再エネ活用の数値目標や促進区域を設定する。ポジティブゾーニングを進め、経済を活性化するとともに防災など地域課題の解決にも資する再エネ事業を普及させていく。

環境アセスメント制度については、洋上風力発電の最適なあり方を検討する。温泉事業者等の地域の不安を解消するための熱源探査を含めた自然環境の詳細調査、地産地消型・地元裨益型の地熱のあり方についても検討を重ねていく。「地熱開発加速化プラン」では、2030年までに全国の地熱発電施設数を現在の約60施設から倍に増やすことを目指している。

「地域脱炭素ロードマップ」はこちら