■エコホテル巡礼(特別篇):なぜいまポルトガルなのか■
(ホテルジャーナリスト・せきねきょうこ)
世界各国で新型コロナ感染症に対するワクチン供給が進行中だが、一時は流行収束の様子も見られた欧州各国、他国にも、再度、感染者増加の傾向が見られている。長い間の人類とウィルスとの戦いに世界を俯瞰すると悲観的にもなるが、ここでは前を向き、未来を見つめるアフターコロナの環境先進国・観光業で注目され続けるポルトガルの現状についてレポートする。
旅は心を癒し、アカデミズムを刺激し、未知の世界へと果てしない興味を抱かせてくれる人の心の「特効薬」のような気がしている。
コロナで我慢を強いられていた私たちは、注意しながらも世界中への旅が自由にできる日常が戻れば、旅を愛するトラベラー達がどれほど一斉に動き出すであろうか。ただし、一方で、旅は推奨ばかりしてはいられない世界情勢がある。旅をすることで、CO2は確実に排出され、ゴミは増え、時には環境破壊にもつながる可能性を含んでいるからだ。
筆者である私自身、2020年3月末、世界的なパンデミックになるとは思わず海外取材旅へと赴いた。行先はタイのプーケット島であった。以来、海外旅行はもちろんゼロの状態である。
その後、2020年5月に、同オルタナ誌に「新型コロナウイルスの蔓延と観光業界」をレポートした。これほど世界中に蔓延し、長引くこととは予想もせず、希望、推測、多くの人々が望む旅の未来を誌面に語った。
今回のレポートは、一足先に観光業界を復活させるべく、観光事業やサステナブルな社会構築のために国を挙げて指導し始めている、観光立国・ポルトガルに焦点を当てた。
コロナ禍以前の日本を思い出してほしい。インバウンドのかつてない急増や、日本への憧れを抱く世界からの旅人の多さに、少なからず浮足立った著者自身も含め、日本は国家として観光立国という念願の目的に向かっていたはずだ。
ポルトガルと日本は古くから良好な関係国家であり、日本開国の黎明期にも数々の西洋文化をもたらした国家でもある。海洋国の日本とポルトガル、相手国に学ぶべき点は多いのではないだろうか。