国際NGOのエフ・オー・イー・ジャパン(FoE Japan:東京・板橋)は10月14日、カナダでの先住民族の権利を無視したガス開発の即時中止求める声明を発出した。日本の官民も関わるカナダのガス開発の現場で、先住民族に対する深刻な権利侵害や環境破壊の恐れが懸念されているという。(オルタナ副編集長=山口勉)

関連企業前でのアクション

■ガス採掘事業はカナダ先住民の「生活環境を破壊する恐れ」

現在、カナダのブリティッシュ・コロンビア州でシェールガスを採掘するための一連の開発が行われている。この「LNG(液化天然ガス)カナダ事業」は三菱商事やロイヤル・ダッチ・シェルが出資し、液化プラントと輸出ターミナルを建設する事業だ。

この事業に対し、FoE Japanは「事業に関わる企業や銀行は、国際的なスタンダードや各々が有する人権方針に従って先住民族の権利を尊重し、事業から撤退すべきだ」とし、建設地周辺に住むカナダ先住民族のウェットスウェテン族と連帯の意思を示す声明を出した。

同団体によると、開発事業者であるコースタル・ガスリンク・パイプライン社(カナダ)はウェットスウェテン族の権利を守ることをせず、パイプライン敷設を強行しようとしているという。建設地周辺の河川にはさまざまな種類のサーモンが生息しており、サーモン漁業は先住民族の重要な生計手段の一つである。しかし、同パイプラインの建設による環境への影響が懸念されている。

一方、カナダ連邦警察が反対活動を行う先住民族を強制排除しようとし、逮捕者も出る事態も発生している。国連人種差別撤廃委員会は、「自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意」が得られるまで、コースタル・ガスリンク・パイプラインらによる建設事業を即時停止するようカナダ連邦政府に求める決議を発表した。

■ガス輸出先に日本、官民で事業融資を検討

LNGカナダ事業でのシェールガスの輸出先には日本も含まれる。東京ガスは2026年度から13年間にわたり、年間最大約60万トンの LNG購入に基本合意している。日本の政府系金融機関である国際協力銀行(JBIC)が同事業に対する融資を検討しており、日本の民間銀行も協調融資を行う可能性が高い。

日本の三大メガバンクはすでにコースタル・ガスリンク・パイプライン事業に融資しており、 LNGカナダ事業に融資を行う可能性が十分ある。同事業のプラント建設は2021年4月初め時点で25%ほどまで進んでいる。