これからの金融教育

これからの金融教育

■つなぐ金融(9)

2019年12月から担当させていただいた「つなぐ金融」のコラムは、今回で最終回となる。

関係をつなぐというお金の表の側面に焦点を当てながら、筆者が注目してもらいたい事例や考え方を中心に紹介した。少しずつ新しい流れが生まれてきているものの、金融教育で重視されているのは、お金に困らない人生を自身が送るためにどのようにお金と付き合うかだと言って良いだろう。

特に日本では、お金と社会を結び付けて教えるということが、ほとんどなされてこなかった。

今後の金融教育では、分かち合いが強調されていくことが望まれる。分かち合いの大切さを筆者に教えてくれたのも、「つなぐ金融」の第2回で紹介したロルフ・ケルラーだった。

ケルラーは、経済活動から生まれた利潤の分かち合いが、コミュニティー内の人々の生活を保障するための意識的な行為であると述べる。経済的な余剰が分かち合いの土台だということが理解され実践されればされるほど、自分のためにお金を増やす必要はなくなっていく。

余剰の「分け合い」が全体の幸せに

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kiminorihayashi

林 公則(明治学院大学国際学部国際学科准教授)

明治学院大学国際学部国際学科准教授。2007年10月、一橋大学大学院博士課程(経済学研究科応用経済専攻)修了。専門は環境経済学と環境政策論。著書に『新・贈与論─お金との付き合い方で社会が変わる』(コモンズ)など。

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