5月28日(土)都内において車いす利用者らがバリアフリー情報を共有できるスマートフォンアプリ「WheeLog!」のリリース5周年記念イベントが開かれた。このアプリは利用者が実際に車いすで移動をしたルート、トイレやエレベーター、スロープなどのバリアフリー施設、通ることのできなかった段差などを地図上で共有するものだ。この5年間で登録者数は3万人、ダウンロードは10万人を超えた(CSR48・大井美歩)

参加者が一堂に集合(写真:一般社団法人WheeLog)

■「情報があったから外出できた」体験をもとに開発

アプリを開発をしたのは、自身も車いすを使用する織田友理子さん。バリアフリー施設に関する情報があったからこそ、諦めかけていた念願の場所に出かけられた経験があった。情報は人を幸せにするとの想いからアプリを発案し、Googleが主催する社会問題解決の提案に助成するプログラムに応募した。

そこでグランプリに輝き、受賞した5,000万円を使ってバリアフリーを目指す仲間とともにアプリを作った。当時は制作の知識はほとんどなかったが、技術指導を島根大学の伊藤史人助教に、起業家・開発者としてのアドバイスをロボット研究者の吉藤オリィ氏に依頼。自らがITの展示会で見つけたナノコネクト社に委託して企画・開発を行った。

イベントを通じて特に印象的だったのが、織田さんの推進力。車いすでも外出を諦めない世界を作るという熱意に押されたと、開発に関わった皆が口を揃える。アプリ上に新たな機能を追加するという技術的に難しい局面でも、ユーザーにとって役立つ情報を追求したいとの強い想いを受けて大勢が動き、実現させていった。

アプリには可愛らしさや、使っていてワクワクするデザインという彼女のやわらかな感性も織り込まれている。自身の病気と向き合いながらも最大限の行動をし、夢を実現していく姿勢に皆が心を動かされる。


開発者の織田友理子さんとマイクを持つWheelog事務局の織田洋一さん(写真:一般社団法人WheeLog)

■ベビーカーやキャリーバッグ利用者も愛用

アプリを開いてみると、会場となった六本木付近をはじめ既に多くの都内の場所においてバリアフリー情報が登録されていた。現在登録されている情報は45,000件。以前に同じ場所を通過した人がアプリを開き、次にこのアプリを見る人のために書き込んだ足跡を感じることができる。

車いすでの生活は不便なことも多く、新しい土地に行くときにはトイレやエレベーターがあるかなどの不安が付きまとい、行った先で人の手を煩わせるのではないかとの心配から外出を躊躇う人も多い。

アプリの書き込みを見て、このような施設やサポートがあるのならば外出できるかもしれないと他のユーザーが勇気づけられる。「あなたの『行けた!』が誰かの『行きたい!』になる」がこのアプリのキャッチコピーだ。

バリアフリーの活動は障がいを持っている人に向けただけの活動ではない。こちらのアプリも車いす利用者に限らず、ベビーカーや足腰が弱ったお年寄りの移動や、キャリーバッグなど車輪付きの荷物を運ぶ際など幅広い人が使うことができる。実際にアプリの登録者の構成は障がい者が3割、健常者が7割と、実は健常者の方が高い。

アプリを読んだ人が行動できるよう背中を押し、書き込んだ人が温かい気持ちになれる地図。WheeLogは今後も大勢の人が使えるよう活動を続けていく。

https://wheelog.com/