日銀「金融緩和」、どこまでやるのか(澤上 篤人)

真のサステナブル投資とは(1)

米FRBは3月に続き2度目の利上げを実施し、金融の引き締め方針を発表した。インフレの台頭を抑え込むためだ。英国もヨーロッパ中央銀行も利上げの方向にある。一方、日銀は頑として金融緩和政策を続ける意向を表明している。その結果、米国などとの金利差が拡大し、円安が進行している。(澤上 篤人・さわかみホールディングス社長)

現在進行中のインフレはコストプッシュ型で、長引く可能性が高い。エネルギーや資源そして食料などの価格高騰は、その大半を輸入に依存している日本にとっては厳しい現実となっている。そこへ円安とくれば、輸入代金が大きく膨らみ、国富の流出が懸念される。

輸入インフレという形で国内の物価にも上昇圧力がかかってこよう。これまで日銀が目標としてきた2%インフレなど、それこそ瞬間に達成し、さらなる物価上昇も警戒を怠れない。

米国などの利上げや金融正常化の動きは、理に適った政策である。一方、日銀の金融緩和固執は理解に苦しむ。なにがなんでも金利上昇を抑え込もうとする背景には、日銀自身の500兆円を超す国債保有があるのだろう。金利上昇による国債価格の下落で、巨額の評価損が発生するのを恐れてのこと。さらには、国の財政運営を意識してのこともあろう。

有料会員限定コンテンツ

こちらのコンテンツをご覧いただくには

有料会員登録が必要です。

sawakami

澤上 篤人(さわかみホールディングス社長)

さわかみホールディングス社長。1973年、ジュネーブ大学付属国際問題研究所国際経済学修士課程履修。1980年─1996年、ピクテジャパン(現・ピクテ投信)代表。1999年に日本初の独立系投資信託会社さわかみ投信設立。

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..