原発周辺の海藻に高濃度の放射性物質

グリーンピース公式ブログから引用

国際環境NGOのグリーンピースは12日、事故を起こした東京電力福島第一原発付近の沿岸や海洋で実施した放射能汚染の実態調査で、複数の海藻類から高い濃度の放射性物質を検出したと発表した。海藻を魚類や貝類などが摂取することで、放射性物質が生物濃縮する可能性があり、漁業への重大な影響は必至だ。同NGOでは日本政府に対して海藻類の緊急調査と結果の公表、安全性が確認されるまでの海藻類の収穫の禁止、そしてそれにともなう漁業関係者への早急な損害補償を行うよう求めている。

今回調査を実施した場所は、福島第一原発を中心とした太平洋岸と沿岸海域。沿岸では福島県内の釣師浜、四倉などの各漁港で地元漁師らの協力により海藻の提供を受けたほか、沖合ではグリーンピースの海洋調査船「虹の戦士号」(オランダ船籍、555トン)が日本の領海外で海藻類の採取を行った。

その結果、沖合で採取したホンダワラ科の海藻であるアカモクから、1キログラム当たり13000ベクレル以上という、測定上限値を上回る放射性物質を検出。また沿岸でもアカモクから同23000ベクレル以上、ホソメコンブから同19000ベクレル以上の放射性物質が検出された。

同NGOで海洋生態系問題を担当する花岡和佳男氏は「政府や自治体は海藻類の調査を行おうとしない。また、水産庁が実施する魚の放射能汚染調査は、頭と内臓を切り落とした身の部分しか行わず、これでは放射性物質の生物濃縮の実態がわからない」と指摘。その上で「汚染の実態が解明されないと漁業は再開の目途すら立たない。事故発生から既に2カ月以上も収入がない中、漁師らは政府に対して海藻類の調査の実施と、早急な損害補償を求めている」と話した。

今回発表した数値は暫定結果で、グリーンピースでは現在核種分析などを行っているという。詳細な調査結果については来週にも発表予定だ。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年5月12日

グリーンピース プレスリリース

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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