佐々木常夫氏インタビュー「若者よ、不景気だって幸せになれる!」

■仲間が一緒に働きたいと思わせるリーダーになれ!

最近の若い人に関して何か思うところはありますか?

ある人が、最近の若い人は上司と飲みに行きたがらない、と言っていた。しかし、飲みに行っても上司の愚痴を聞かされ、割り勘にされた日には誰だって行きたくなくなる。飲みに行かないのは当然だ。

私なんかは若い女性社員に「今度いつ飲みに連れってってくれるんですか」と聞かれ、最近はなかなか忙しいので少し困っている。しかし、こう言ってもらえるのは僕がいつも飲みに行くと、8割は部下の話しを聞くようにしているからだと思う。もちろん奢りで。リーダーというのは、仲間から一緒に働きたいと思わせなければならない。

「最近の若い人は・・・」というのは違う。その前に上司が自分のことを見つめ直すべきなのだ。

■運命はあきらめじゃない、覚悟だ

幼い頃に父親を失い、母の手一つで育てられた佐々木さん。結婚後は長男が自閉症を、奥さんはうつ病に苦しみ3度にわたり自殺未遂を繰り返すなど苦難の時を何度も経験したと思いますが苦しくなかったのですか?

確かに色々と辛かったことも多かった。だけどこれも「運命」だと思った。人生において誰と出会い、苦しみ、喜ぶかはすべて決まっている。だから運命であると受け入れて、子供と妻を精一杯守らなければいけないと覚悟した。そもそも自分が結婚し、自分が生んだ子供なのだから、家族を守らずして何を守るのかと考えていたと思う。

最近ある取材で妻が「夫には親の何倍もの愛を自分はもらった」と答えていた。これほど嬉しいことはない。

これは運命だからしょうがない、というあきらめではなく、覚悟をもって、愛をもって行動すれば自分に返ってくるわけですね。

■先輩が上手く仕事をしていれば真似をするべき

本の中で「プアなイノベーション(創造)より優れたイミテーション(模倣)」とおっしゃってますが、個性を強調するよう求められてきた今の学生はどうするべきですか?

優れたイミテーションが求められるのはあくまで仕事上の話。仕事を効率的にする上で、下手に自分のやり方を通すのではなく他の人がもっと上手く仕事をしているのであれば、それは取り入れるべきということ。一方で個性というのは人格のことで、そっちはイミテーションの範疇ではない。とは言っても、仕事ができるようになり、出世し、様々な人と関わるようになれば視野が広がる。そこで人間として成長することはあると思う。

佐々木 常夫 (ささき つねお)

東レ経営研究所社長を経て現在は同研究所特別顧問。
自閉症の長男と次男、次女の3人の子供に恵まれるが、課長に就任した40歳の時に妻が肝臓病を患い、入退院を繰り返す中でうつ病も併発するようになる。その後妻は3度の自殺未遂をおこすなど多くの苦難の時を経験する。度重なる転勤など仕事の忙しさに追われながらも、家事・看病をこなすために仕事の効率化を極め、数々の大事業を成し遂てげきた。昨年出版の「働く君に贈る25の言葉」が35万部を超える大ベストセラー。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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