小型訓練機が北海道の山中で墜落事故を起こした航空大学校帯広分校は、過去にも訓練中に死亡事故を含む度重なる事故を起こしていたことが明らかになった。また2008年には無許可飛行で国土交通省から厳重注意を受けるなど、管理体制の甘さが問われそうだ。
死者を出した重大事故は2002年3月1日に起きた。十勝市上空を小型機で訓練飛行中、操縦蛇を握っていた訓練生の操作ミスから帯広市の防風林に墜落。同乗していた操縦教員が死亡し、学生は顔面などに重症を負った。
今回事故を起こした同型機でのトラブルも数回ある。2000年6月21日に帯広空港でビーチクラフト式A36型機に操縦訓練生が単独で搭乗して離着陸訓練をしていたところ、離陸滑走中に脚が引き込み状態となり胴体滑走しながら止まった。この時の事故原因は分かっていない。
97年10月31日にも同型機を使って帯広空港で離着陸訓練を実施中、エンジンが停止して機体が滑走路手前の芝地にはみ出し、搭乗していた操縦教員と訓練生の4人が軽症を負った。この事故の原因も特定されないままだ。
同様にして86年から現在までに、帯広分校だけでも今回の事故を入れて5件の訓練中の事故が起き、74年まで遡ると航空大学校全体で20件の事故を起こしている。
また、2007年にはビーチクラフト式A36型機に簡易型航空機衝突防止装置を取り付ける改造をしたが、航空法で決められた試験飛行の許可を国から得ないままに飛行させていたとして、08年に国土交通省から厳重処分を受けていた。(形山 昌由)