震災後に需要急増「独立型ソーラー」

【写真】記者が自宅で運用する独立型ソーラー設備。震災後に設置。発電出力45Wh

自治体首長とタッグを組んでメガソーラーの拡大をめざすソフトバンクの孫正義社長、かたや4日に家庭用太陽光システム市場への参入を表明した楽天の三木谷浩史社長――。自然エネルギーの拡大に対照的なアプローチで挑む2大ネット企業の動向に注目が集まるが、一方で電力系統に接続しない「独立型ソーラー」への需要も震災以降に急増している。最低限の電気の知識さえあれば、安価に自作も可能だ。

■販売サイト「震災後の月売上4倍に」

「月毎の売上げは震災以前の4倍に増えた」と話すのは、独立型ソーラー関連の商品を専門に扱う販売サイト「オフグリッドソーラー」(長野県駒ケ根市)の南澤桂氏だ。

独立型ソーラーは、メガソーラーや一般的な家庭用太陽光システムが電力会社の送配電網に接続しているのとは対照的に、電力網に接続しないことを最大の特徴とする。「オフグリッド」と言われるゆえんだ。

太陽光発電パネル、蓄電池、充電制御器などの装置一式は数万円からの費用で揃えられる。日射条件にもよるが、発電出力40Wのソーラーパネル1枚で、直流で動作する小型液晶テレビまたはLED電球を数時間程度動かしたり、点灯させたりするのには十分な電力を発電可能だ。

震災後の売上げ増の背景には、非常用電源としての需要も大きいとみられる。南澤氏は「独立型ソーラーの発想自体は以前からあったが、震災で停電を経験した人が『最低限、テレビや電話などの情報源は確保したい』と言って独立型ソーラーを導入した、という話を聞いた」と指摘する。

■電気をシンプルに自給自足

電流・電圧・極性など、最低限の電気の知識があれば、日曜大工感覚でシステムを立ち上げられるのも独立型ソーラーの魅力だ。回路電圧が30V以下であれば、電気工作物とは扱われないので電気工事士の資格もいらない。

独立型ソーラーがあれば、家庭で使う全ての電気をまかなうのは難しいにせよ、極めてシンプルに電気の自給自足が体験できる。蓄電池に自動車用廃バッテリーを利用すれば、導入費用の大幅な節約も不可能ではない。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年8月5日

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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