イギリスの科学誌『ネイチャー』の日本語版を含むアジア・パシフィック版のウェブサイトが不正アクセスされ、約1万4000人分の個人情報が流出した。記者個人も会員登録しており、16日夜に「盗まれた登録者情報リストにお客様のお名前があったことをご報告いたします」とのおわびのメールを同社から受け取った。
同社は翌17日付でサイト上に「ご報告とおわび」と題した文章を掲載した。それによると不正アクセスによって一部の登録者の氏名、メールアドレスとパスワードが流出し、さらに一部の定期購読者のクレジットカード情報も盗まれた。実害が出ており、同社は警察に届け出たという。
メールやサイトでは「詐欺行為目的でお客様の氏名やメールアドレスを使用されるかもしれません」「今後はより一層のセキュリティの強化、システム管理の強化を図ります」などと説明されたが全体像がわからなかったため、記者がさらに詳細な問い合わせのメールを同社に出したところ、17日夕方に回答があった。それによると流出したのは約1万4000人分の個人情報で、カード番号を含む情報はそのうち「数百件」。不正アクセスは7月1日にあったことがわかったが、その手段に「はっきりした属性は認められなかった」という。
記者は2008年10月に同ウェブサイトの日本語コンテンツを閲覧するため会員登録、定期的にメールマガジンなどを受けていた。ただし同誌の定期購読は申し込んでいなかったため、カード情報は提供していなかった。これまでのところ記者個人に被害は及んでいない。ただ、1カ月半後の公表というタイミングや、読者への不十分な説明は「名門科学誌」のブランドとのギャップを感じさせるものだった。(関口威人)