ALTキーワード:LGBT難民
記事のポイント
- 性的少数者は国から法的な迫害を受ける場合もある
- 英国では難民申請の3%が「LGBT難民」であることが明らかになった
- 日本でも2018年に「LGBT難民」を受け入れた
難民といえば「紛争」から逃れる人を想起しがちだが、それ以外の難民もいる。国連の難民条約では「人種・宗教・国籍・政治的意見・特定の社会集団に属するため迫害のおそれがある人」(筆者要約)が対象だが、ここでいう迫害は「紛争」に限らない。
特にLGBTなどの性的少数者は国から「法的な迫害」を受ける場合もある。例えば同性愛行為を刑罰の対象とする国は69か国。うち6か国では死刑となる。このような法制度はアフリカ・中東・アジアに多い(参考:ILGA「State-Sponsored Homophobia」)。
これらの状況を逃れて保護を求める人を「LGBT難民」と呼ぶ。英国では難民申請の3%(2020年)が、性的指向に基づく迫害を理由に挙げた。
同難民の受け入れは、1990年代以降に欧州諸国で拡大した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)も難民条約のガイドラインで「条約でいう特定の社会集団にLGBTが含まれる」との見解を示している。日本でも2018年にLGBT難民を初めて受け入れた。しかし庇護国で新たな差別にさらされる難民がいるなど、解決すべき問題点は依然多い。