日本で「FCEV(燃料電池自動車)」が増えないワケ

記事のポイント


  1. 自動車業界の脱炭素に向けて注目されているのが「水素」だ
  2. 水素は気体ガスで存在するので、電気よりも貯めやすく、運びやすい
  3. だが、日本ではHEV人気が高く、FCEVは特別なクルマという印象が拭えない

脱炭素エネルギーの主役は、なんと言っても再生可能なエネルギーだ。しかし、エネルギーは各国の安全保障にも関係する国家の最重要事項でもあり、国によってエネルギーのエコシステムは大きくことなる。(自動車ジャーナリスト=清水 和夫)

我が国日本ではエネルギー自給率が低く、原子力発電を使っても30%前後。原子力発電がないと15%前後と言われている。

だからといって、海外から石油や石炭、天然ガスを今までと同じように輸入するわけもいかない。段階的に海外から再生可能なエネルギーを輸入するしか手はないのだ。

電気エネルギーは使いやすいが、貯めることや運ぶことが難しい。そこで注目するのが、水素なのである。電気は水で電気分解することが可能だ。

水はH2Oで知られているから、電気の力で水素だけを取り出すことができる。水素は多くの場合、気体ガスで存在するので、電気よりも貯めやすく(高圧ガスなど)、運びやすい。このような事情もあって、いま世界では水素が急速に注目されている。

今年の2月にホンダは環境負荷ゼロを目指した取り組みを発表した。ホンダは四輪と二輪事業だけでなく汎用機も含めると年間約3千万台のパワープラントを製造販売している。つまり石油などのエネルギーに依存し成長してきた企業だ。

40年までにコストは6分の1に

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shimizukazuo

清水 和夫(自動車ジャーナリスト)

武蔵工業大学電子通信工学卒、1981年からプロのレースドライバーに転向、1988年本格的なジャーナリスト活動開始、日本自動車ジャーナリスト協会会員(AJAJ)、日本科学技術ジャーナリスト会議会員(JASTJ)、著書・共著に『クルマ安全学のすすめ』『燃料電池とはなにか』『ITSの思想』『ディーゼルこそが、地球を救う』などがある。

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