厄介な生ゴミの処理は土の中のバクテリアにおまかせ――。可燃ゴミ処理問題で市長が辞任に追い込まれた東京・小金井市で20日、生ゴミ処理装置「キエーロ」の使い方や仕組みについて学ぶワークショップが開かれた。
「ごみ対策ワークショップ」と名付けられたこの企画は、大量消費からの脱依存やコミュニティの再建をめざす市民グループ「トランジションタウン小金井」が主催。市民など約30人が参加した。
キエーロのしくみはいたって簡単で、生ゴミを土に埋めるだけ。夏場で約5日、気温の下がる冬場でも約2週間程度で生ゴミを分解する。ほんのわずかな手間で、電気などのエネルギーを一切追加せずに、年間200キログラムの生ゴミがわずか200グラムと千分の一に減容する。バクテリアの力でゴミが消えるから「キエーロ」というわけだ。
キエーロには、庭の土の上に直接設置するタイプと、マンションなどのベランダにも置けるタイプの2種類がある。「ベランダdeキエーロ」(販売価格14500円、送料込み)は幅90センチ×高さ80センチ×奥行45センチの箱型。神奈川県葉山町では町民を対象にした助成制度が設けられている。鎌倉市役所や岩手県陸前高田市の仮設住宅でも設置実績がある。
開発したのは葉山町在住の松本信夫氏。自宅であらゆる生ゴミ処理機を試してみたが、「どれも虫や臭いが発生した」。キエーロにたどり着くまでに10年を要したという。
キエーロは単純な構造ながら、ふたの部分に透明波板を用いて太陽光を取り入れ、しかも十分な大きさの通気口を設けることで表面の土を乾かして虫の発生を防ぐなど、松本氏の長年の試行錯誤のノウハウが詰まっている。
葉山町では、キエーロを導入したモデル地区で生ゴミの発生が4割減ったという。現在「ベランダdeキエーロ」は横浜刑務所で製作しているが、各地の刑務所や授産施設で製造されれば輸送コストも抑えられ、ゴミ減少に加えて地域での産業創出にも貢献しそうだ。(オルタナ編集部=斉藤円華)2011年11月24日