記事のポイント
- 一般的なガムには、合成樹脂である酢酸ビニル樹脂などが使われている
- デンマーク生まれの「トゥルーガム」はプラフリーを掲げる
- 天然チクルを主原料とし、100%植物原料にこだわる
デンマーク・コペンハーゲン生まれの「トゥルーガム(本物のガム)」は、プラスチックフリーを掲げるガムブランドだ。大学の友人4人で2017年に立ち上げた。一般的なガムには、合成樹脂である酢酸ビニル樹脂などが使われているが、同社のガムは天然チクルを主原料とし、100%植物原料にこだわっている。(オルタナ副編集長・吉田広子)
「小さなアパートのキッチンで、いつも通り、友人のピーターと食事を楽しんでいた。料理はオーガニック食材を使った健康的なものだった。食事が終わると、ピーターが派手な緑色のチューイングガムを取り出した。その対比が対照的で、ガムは何でできているのだろうと疑問がわいた」
トゥルーガム創業者の一人、モルテンさんは、起業のきっかけをこう語っている。その後、ガムについて調べ、ガムが石油由来のプラスチックでできていることを知り、愕然とした。捨てられたガムが道路にこびりついて消えず、黒い斑点になっているのも、プラスチックだからだった。
「接着剤やプラスチックボトルと同じ成分のガムを、噛み続けたくない。でも、ガムをかむ習慣は変えにくい」。こう考えた彼らは、ガムの代替品の開発を始めた。
開発は思ったより大変だったという。1年半以上、自宅のキッチンで試作品を作り続けた。その数は500以上にも上る。ようやくプラスチックフリーのガムが完成し、2017年に大学の友人4人でトゥルー社を立ち上げた。地元の農民協同組合と協力し、原生林を保護する取り組みも進めている。
基本のフレーバーは、ストロングミント、レモン、ラズベリー&バニラ、シナモン、リコリス&ユーカリ、ジンジャー&ウコンの6種類だ。砂糖や合成甘味料は使わず、キシリトールやステビアで甘味を出している。
ガムを口に入れると、自然な風味が広がる。ほどよい堅さで、噛み続けるとふわふわと柔らかくなっていく。堅くてつるつるした市販のガムとは歯触りが異なる。
同社はガム以外にも、ミントのタブレットやキャンディなども展開する。日本でも一部店舗で取り扱いがあるほか、ネット通販などでも販売している。
トゥルー社は、プラスチックガムからトゥルーガムに変えることで、プラスチックごみ問題の解決にもつなげたい考えだ。