■ 「電力供給を市民の手に取り戻したい」
今でこそ電力は10社による地域独占が続いているが、1928(昭和3)年には東京電燈(現在の東京電力)神戸電燈、大阪電燈、京都電燈、名古屋電燈、品川電燈、深川電燈など全国に群小電力会社1千社がひしめき合っていた。
「一村一自然エネルギー」運動を展開する長野県の阿部守一知事は「化石燃料や原子力に依存するのは極めて中央集権型のシステムだった。行政の分権はこれまでも強く政府に働きかけてきたが、今後はエネルギーの分権も必要だ」と期待を込める。
こうした市民電力の草分けの一つは、ドイツ南部のシェーナウ村で主婦などの市民グループが26年前に始めた「シェーナウ発電所」だ。いまやドイツ全土で1万3千世帯に自然エネルギーを供給している。
創業者の一人、ウルズラ・スラーデクさんは「電力供給を市民の手に取り戻したかった」と設立の動機をオルタナ記者に語っている。
ご当地電力ではないが、昨年創業したばかりの「みんな電力」も、そのユニークな名前と事業で注目を集めている。
大石英司社長は凸版印刷に13年間在籍し、電子出版などを担当していた。今ではモデルやアイドルによる「エネギャルプロジェクト」による啓発事業や、携帯型ソーラー発電器「空野めぐみ」の販売など、ユニークな電力ビジネスを仕掛け始めた。(オルタナ編集長 森 摂)