最近、「農業経営者」という農業誌から「有機給食の全国展開運動・私はこう思う」という原稿依頼があった。そもそもの題名が「オーガニック給食運動はここが危うい」だった。
この雑誌はJA系ではなく、自主独立経営で続いてきた民間で唯一の農業誌だ。専業・プロ農家を目指す読者に支えられてきた稀有な存在である。
大多数の農家は有機農業の推進に懸念を持っているのだが、とりあえず「賛成」「反対」の両論を取り上げてみたということだ。言い換えれば、衰退し続けている日本農業の再生にとって有機農業は有効なのか─という問いである。
日本政府は2021年5月、「気候変動対策」と「生物多様性の回復」という世界的2大テーマを掲げ、「みどりの食料システム戦略」を公表した。2050年までに有機農業比率25%(面積100万㌶)の達成を目指す。22年4月には「みどりの食料システム法」を成立させた。
それに先立つ21年3月、文科省は「第4次食育推進基本計画」に有機農産物の導入を推奨する文言を入れた。環境省所管のグリーン購入法では、22年2月、食堂などで使用する農産物について有機農産物などへの配慮事項を追加している。
ある議員が国会で「農水省が模範となって、食堂に有機農産物を導入しないのか」と質問し、金子原二郎農水大臣(当時)が導入を宣言した。その後、速やかに導入され、他の省庁にも広がっている。
■ 83の自治体がオーガニック宣言