■オルタナティブの風(28)
これからの時代、「教養」というものは、どう変わっていくべきか。
これまで、「教養」とは、「書物を通じて学んだ、様々な専門分野の、該博な知識」として論じられる傾向があり、そのため、歴史学や宗教学、政治学や経済学、心理学や人間学など、幅広い分野での読書が勧められてきた。
しかし、真の「教養」とは、本来、読書によって様々な知識を学ぶことではない。そうした読書と知識を通じて、「人間としての生き方」を学び、それを実践することである。だが、現代の「教養論」では、しばしば、その「生き方」の視点が見失われてきた。
加えて、近年、「教養」の前提条件に三つの大きな変化が起きている。