すべて国産の天然木(無垢材)を使用し、手刻み・伝統工法で作り上げる住宅の建築がこのほど鎌倉・浄明寺で始まった。林業、建築、法律の専門家から成るチーム「都市に森づくり」のプロジェクトで、建築現場を広く一般に公開する。
木材はすべて国産で、長野・木曽や北杜、奈良・吉野などからスギやヒノキを仕入れている。家づくりを手掛ける「風の森」(長野県原村)は、大工自らアカマツを伐採し、手刻みで加工した。
住宅は、伝統工法「渡りあご」で作り上げる。渡りあごとは、一つの木をほかの木に乗せる日本古来の仕口方法で、上になる木と下になる木それぞれに溝を作り、互いにはめて組んでいく工法だ。
木材コーディネーターで住宅工房なお(神奈川県鎌倉市)の鈴木直子代表は、住宅を建てる前には、必ず顧客と伐採・製材現場に行くという。
「私の役割は『森とつなぐ』こと。森の価値を上げるための木材利用を考え、木材の産地には責任を持つ。特に子どもたちには、森の木が住まいにつながっていることを実感してほしい」と話す。
住工房なおでは、約10種類の国産木材をそろえ、設計士向けに「国産木材&自然素材の情報館」を開いている。色、香り、手ざわり、木目の違いを感じてもらい、材料選択の場にしてほしいとの思いからだ。
住宅は7月に完成予定で、建築現場の見学はチーム「都市に森づくり」事務局(住工房なお内)で受け付けている。(オルタナ編集部=吉田広子)