レゾナック、モヤモヤとドキドキでサステナの共通認識築く

記事のポイント


  1. レゾナック・ホールディングスは経営の根幹にサステナビリティを置く
  2. 「モヤモヤとドキドキ」をキーワードにサステナの社内浸透を図る
  3. 同社の最高サステナビリティ責任者(CSuO)にその戦略を聞いた

旧昭和電工と旧日立化成が統合してできたレゾナック・ホールディングスは半導体材料事業を中心に成長を続ける。経営の根幹にサステナビリティを据え、企業価値の向上を狙うが、同時に「*JTC体質」からの脱却も図る。同社の松古樹美・最高サステナビリティ責任者(CSuO)にサステナビリティの社内浸透戦略を聞くと、「モヤモヤとドキドキ」をキーワードに挙げた。(聞き手・オルタナ輪番編集長=池田真隆、写真=高橋慎一)
※JTC=Japanese traditional Company、伝統的な日本企業

松古 樹美(まつこ なみ)
株式会社レゾナック・ホールディングス
執行役員 最高サステナビリティ責任者(CSuO)
上智大学法学部卒業。野村総合研究所へ入社。ジョージタウン大学とニューヨーク大学にてロースクール法学修士号取得。野村證券、野村ホールディングス、野村アセットマネジメントなどで勤務。2016年にオムロンに入社しIR・広報部門やサステナビリティ推進室を経て、2022年に昭和電工へ入社。サステナビリティ部長に就任。24年1月にCSuO設立に伴い現職。

――2022年の実質統合から3年、レゾナックはどう変わりましたか。

レゾナックは2023年1月に旧昭和電工と旧日立化成が統合して発足しました。昭和電工は素材の技術に強みを持つ総合化学企業でした。日立化成は半導体材料に強いスペシャリティケミカル(高い機能性や性能を持つ化学製品)としての強みがありました。それぞれの強みを生かして時代が求める「機能」を創出していく、世界トップクラスの「機能性化学メーカー」になることが目的でした。

素材に新しい機能を持たせ、価値を高めて販売できるのが当社の強みです。半導体材料の素材となる樹脂をそのまま素材として売るのではなく、フィラー(粉子状のもの)を混ぜて加工します。半導体メーカーが求める「機能性のある材料」にして売ると、利益率が大きく違います。機能性材料にすれば、*EBITDAマージンは25~30%確保できます。
*減価償却費の影響を除いた収益力を測定する指標

機能性化学メーカーとしての成長を目指すにあたって私たちが重視したのは、「経営を変える」「人を変える」「企業文化を醸成する」――という3つでした。

一般的に、日本の大企業の少し残念なところとして、非常に優秀な人材がいても彼らの高いポテンシャルを存分に生かせていない一方で、社員も自らのキャリアを切り開く意識が薄かったり、サステナビリティへの取り組みが経営戦略と乖離していたりすると常々思っていました。

レゾナックは、日本の大手企業同士が統合してできた会社です。レゾナックの登場を通じて「日本の会社の経営を変えたい」という熱意を持った経営陣に共鳴して私も3年半前に参画を決めました。

それ以降、この3年半で、機能性化学メーカーとなるために、事業ポートフォリオを大胆に変えると同時に、新たなビジネスモデルを遂行していくために必要となる、共創ができる人材、「共創型」人材の育成を最優先事項としました。

かつ、サステナビリティを経営の根幹に据えると宣言して取り組みを進めてきました。今、この成果が出始めて、私たち「らしい」成長の形が見えてきました。その結果として企業価値が向上してきていると感じています。

企業価値は「戦略」「個」「企業文化」の掛け合わせ
「外部不経済の内在化は企業の社会的責任」
成長そのものも大事だが、「成長の仕方も重要」
「モヤモヤマーク」でサステナをみんなごとに
自社製品・サービスの「サステナ認定」強化へ

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M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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