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記事のポイント
- 「インクルーシブフード」とは噛まなくても少しの力で飲み込める食事を指します
- 摂食嚥下障がいの子どもを持つ親のオンラインコミュニティなどが情報を発信
- 食の多様性はSDGsの目標「すべての人に健康と福祉を」にもつながる
年齢や障がいの有無にかかわらず、少しの力で飲み込める、「インクルーシブフード」をご存じでしょうか。摂食嚥下(えんげ)障がいの子どもを持つ親のコミュニティなどが積極的に情報発信を行っています。(SDGsライター=伊藤 緑)

インクルーシブフードとは、摂食嚥下(えんげ)障がいを持つ人も持たない人も、年齢や障がいの有無に関わらず、同じ場所で同じものを一緒に楽しめるように工夫された食事のことです。似た言葉に、食べやすさに配慮した「ユニバーサルデザインフード(UDF)」がありますが、これは日本介護食品協議会が定めた食品の規格です。
■オンラインコミュニティが積極的に情報発信
インクルーシブフードについて積極的に発信しているのが、摂食嚥下障がいの子どもを持つ親同士が集まるオンラインコミュニティ「スナック 都ろ美」です。このオンラインコミュニティは、一般社団法人mogmog engine(モグモグエンジン)が運営します。
スナック都ろ美は2022年度に東京大学・東京医科歯科大学(現:東京科学大学)・新渡戸文化学園との共同製作でインクルーシブフードを開発しました。これは、インクルーシブフードの普及啓発を狙った、東京都と大学の共同事業の一環でした。
2023 年4 月には、愛知県犬山市にある日本料理 関西(かんさい)が、子ども向けの嚥下食「もぐもぐBOX」の販売を始めました。同月には、スイーツブランド「toroa(トロア)」が、「飲めるとろ生焦がしキャラメルアップルチーズケーキ」を販売しました。これは、「インクルーシブフード支援スイーツ」で、モグモグエンジンと新渡戸文化学園、中野区が開発にかかわった産学官福祉連携モデルです。いずれもインターネットで購入できます。
■味の素やカゴメなど「ユニバーサルデザインフード」に参入相次ぐ
食べやすさに配慮した食品の規格「ユニバーサルデザインフード」に参入している企業は、2025年7月時点で、アサヒグループ食品、味の素、イオントップバリュ、カゴメ、キッコーマン食品、キユーピーなど97社に上ります。2025年5月末時点で、2155品目が登録されています。
生産量は 7万2041 トン、生産額は 563億5600万円。前年対比はそれぞれ 105.2%、110.0%と生産量、生産額ともに増えています。
食事をすることは、生きること。その時間が楽しくあることは、SDGsの目標「すべての人に健康と福祉を」にもつながります。