記事のポイント
- 国際標準化機構(ISO)は生物多様性に関する国際規格「ISO 17298」を発表
- 組織が生物多様性への影響、依存、リスク、機会を評価するための国際規格だ
- TNFDとも相互運用性を持っており、ネイチャーポジティブに貢献するものだ
国際標準化機構(ISO)は10月7日、ルワンダの首都キガリで開いた2025年の年次総会(AM25)で、生物多様性に関する国際規格「ISO 17298」を発表した。組織が生物多様性への影響、依存、リスク、機会を評価するための世界初のフレームワークで、TNFDとも相互運用性を持つ。これまで、組織が生物多様性を戦略や事業に統合するための国際的に合意された基準はなかった。(オルタナ輪番編集長=池田真隆)
ISOが発表した国際規格は、「ISO 17298」。この国際規格は、組織が生物多様性関連の影響を評価し、戦略に統合することを支援するものだ。生物多様性へのリスクは急速に高まっていたが、共通のフレームワークが確立されておらず、どのように取り組めばいいのか悩む企業の担当者は少なくなかった。
ISO 17298は、ISO 14001(環境マネジメントシステム)、ISO 26000(組織の社会的責任)、TNFD、SDGsなど、他の国際イニシティブとの相互運用性を持つ。2022年12月に採択した、昆明・モントリオール生物多様性枠組みの一環で国際合意した「ネイチャーポジティブ」にも貢献するものだ。
ISOのノエリア・ガルシア・ネブラ・サステナビリティ・パートナーシップ責任者は、「多くの組織は生物多様性対策の緊急性を認識していますが、その道のりは険しかった。これまで、組織が生物多様性を戦略や事業に統合するための国際的に合意された基準は存在しなかったからだ」と指摘した。
ISO 17298は、60カ国以上の専門家が参加するISO 331生物多様性専門委員会(ISO/TC 331)によって策定された。ISO 17298は同委員会が初めて発行した規格であり、今後ガイダンスをさらに拡充する予定だ。