記事のポイント
- プラチナ構想ネットワークが、2050年のエネルギービジョンを公表した
- エネルギー総需要の約8割を太陽光と風力を中心とした再エネで賄う
- ソーラーシェアリングの普及や、洋上風力技術の国産化に力を入れる
元東大総長(第28代)の小宮山宏氏が会長を務める一般社団法人プラチナ構想ネットワークは2月18日、2050年のエネルギー需要の約8割を再生可能エネルギーで賄うビジョンを公表した。実現には太陽光の年間発電量を現状の約7倍、風力を約60倍にする必要がある。そのために、ソーラーシェアリング(営農型太陽光)や洋上風力の普及に取り組み、これらの技術の国産化を通して産業振興も図るという。(オルタナ副編集長=長濱慎)

◾️熱需要の電化で電力需要は2倍に
プラチナ構想ネットワークは、2010年に任意団体として設立し22年に法人化。市民主体で産学官が協力した「プラチナ社会」(地球が持続し、豊かで、すべての人の自己実現を可能にする社会)の実現を目指し、企業や自治体首長、研究者など500近い団体・個人が参加する。
このほど発表した「2050エネルギービジョン」はネットワーク傘下の「プラチナ再生可能エネルギー産業イニシアティブ」によるもので、化石燃料から再エネへの移行を通して、脱炭素やエネルギー安全保障の強化を図るものだ。
ビジョンでは、2050年の国内エネルギー需要を約2000テラワットアワー(TWh)と算出。これは電力だけでなく、石油やガスで賄われる「熱」(エンジンやボイラーなど)も含む。省エネの進展により総需要は現状(2023年:2964TWh)から約30%減る一方で、熱需要の電化によって電力需要は約2倍になる想定だ。

総需要の約8割に当たる1636TWhを再エネで供給するため、太陽光728TWh、風力640TWh、水力126 TWh、、地熱90 TWh、バイオマス53 TWh、と想定した。主力となる太陽光については現状の約7倍、風力については約60倍に拡大する必要がある。
そこで大きなポテンシャルが見込まれるのが、ソーラーシェアリング(営農型太陽光)だ。ビジョンでは耕作放棄地の活用などで299 TWhを想定しており、政策形成プロセスへの関与や社会実装モデルの構築に向けたコンソーシアムを立ち上げた。
風力については、陸上(191 TWh)、浮体式洋上(163 TWh)、EEZ(195 TWh)などを想定。国産メーカーの育成やサプライチェーンの構築、リサイクル技術の確立などを通して、日本の産業力強化も目指す。
◾️現在ある技術で「再エネ80%」を
他には、再エネの発電量が多い時間帯に電力需要を創出する「上げデマンドレスポンス」の仕組みづくりや、再エネ普及に対する市民や産業界のコンセンサス形成にも取り組む意向だ。
小宮山宏・プラチナ構想ネットワーク会長は、こう述べる。
「ビジョンで取り上げた技術は、すでに実用化あるいは急速に実用化が進んでいるものが大部分で、決して夢物語を描いたのではない。先導的なプロジェクトに取り組みながら、社会実装に向けた第二フェーズに進んでいきたい」

ビジョンでは2050年のエネルギー総需要の8割を再エネで賄う一方で、残り2割は原子力やCCUS(炭素回収・利用技術)を併用した天然ガス火力を想定する。特に、事故や放射性廃棄物のリスクが大きい原子力の取り扱いについては、今後議論を深める必要があるだろう。



