オアシスが「花王の反論」に反論、ESGリスクに対し「独立調査人は必要」

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記事のポイント


  1. オアシス・マネジメントと花王との論戦が、臨時株主総会の開催を前に熱を帯びる
  2. オアシスからの指摘に反論した花王に対し、オアシスが再び反論した
  3. 米議決権行使助言会社も、オアシスの提案に賛成票を投じることを推奨している

香港の投資ファンドのオアシス・マネジメントと花王との論戦が、2026年4月30日に開催予定の臨時株主総会を前に、熱を帯びてきた。オアシスの指摘に対して真っ向から反論した花王に対し、オアシスは4月15日、その内容に反論する声明を発表した。米議決権行使助言会社も、オアシスの提案に賛成票を投じることを推奨したことも明らかになった。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

花王とオアシスの論戦が熱を帯びる

■花王とオアシス、論戦が熱を帯びる

香港の投資ファンド「オアシス・マネジメント」は、花王の株式を12.5%以上保有する筆頭株主だ。

オアシスは2026年3月、花王のサプライチェーン上に重大な人権・環境リスクがあると指摘し、独立した第三者による検証の必要性を訴えるため、臨時株主総会の開催を請求した。花王はこれに応じ、4月30日に臨時株主総会が開催される。

オアシスは、欧州や米国市場での事業拡大を目指す花王にとって、今のサプライチェーン管理は重大なESGリスクを抱えており、独立調査人の選任が必要だと主張する。

花王の取締役会は4月8日、「株主提案に対する当社取締役会意見の補足説明」と題した資料を公表した。花王は同資料を通じて、サプライチェーン管理について高度な統制を構築していると強調した。

この花王の反論内容を精査したオアシスは4月15日、「花王の最新開示に回答:4月30日に全株主が独立調査人の選任に賛成票を投じるべき理由」と題する声明を出し、花王の反論に反論した。

■議決権行使助言会社はオアシスの提案に「賛成」と推奨

米議決権行使助言会社のインスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)は、花王の株主に対して、臨時株主総会において、オアシスが提案する独立調査人の選任に賛成票を投じることを推奨していることも明らかになった。

ISSは報告書の中で、花王のサプライチェーン上のリスクなどについて、オアシスが指摘したように、「深刻かつ正当な懸念」が存在すると指摘した。

■花王は「提起した懸念の本質に向き合っていない」

オアシスは、花王側の説明に対し、「オアシスが提起した懸念の本質に向き合わないばかりか、複数の点において従前の同社の主張と矛盾する内容を示している」とし、「実質的な透明性をもたらすものではない」と反論した。

花王の取締役会は、約2000のパームオイルミル(アブラヤシの果実からパーム油を搾り出す工場)を対象に3週間にわたる内部監査を実施し、「重大な不備があることを示す事実は認められなかった」と結論付けた。しかしオアシスは、花王が「その手法、範囲、調査結果の一切を開示していない」と指摘する。

また、花王の取締役会が「当該体制において特定された課題」について独立した第三者レビューを実施する」と発表したのに対し、対象課題についての説明がないほか、花王が提案する自社選定の第三者レビューについて、調査担当者の氏名やスケジュールも開示されていない点について、「独立したレビューとは程遠い、依然として極めて不十分なもの」と断じた。

そのうえで、「真のリスクレベルの把握は、全株主に対して説明責任を有する株主主導の調査のみによって可能」だと強調した。「オアシスは花王本来のポテンシャルを引き続き信じている」とし、株主に対して、独立した調査委員会の選任に賛成票を投じることが、花王の持つ可能性を守ることになると訴えた。

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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キーワード: #ESG

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