記事のポイント
- サステナの潮流を生み出す欧州は、今後の統合報告のあり方をどう考えるのか
- ESG情報開示研究会は9月に欧州視察を行い、IFRS財団などと意見交換した
- 同財団は今後の「統合報告」の行方は3つのパターンがあると言う
ESG情報開示研究会(代表理事・研究会座長 北川哲雄)では、9月上旬に欧州で欧州委員会(FISMA)、欧州財務報告諮問グループ(EFRAG)、国際会計基準(IFRS)財団、CEPS(ベルギーのシンクタンク)などとサステナビリティ情報開示に関する意見交換の場をもった。サステナビリティを取り巻く社会や規制動向が大きく変わるなか、この潮流を牽引する欧州の動向について報告する。なお、本内容はESG情報開示研究会の見解を述べたものではなく、意見交換した内容のサマリーである。(一般社団法人ESG情報開示研究会 共同代表理事=増田 典生)
■欧州の政策動向:資本の流れを「グリーン」に
「EUがリーダーシップを維持するためには、サステナビリティ基準においてパイオニアであり続ける必要がある」。これはベルギーのシンクタンクCEPSの考えだ。CEPSは、EUがサステナ情報開示分野でリーダーシップを維持するために、設定した基準を「グローバル基準」にすることを狙っているという。
「グリーンディール」から、「グリーンファイナンスアジェンダ」「CSRD・ESRS」に至る一連の政策の狙いは、「資本の流れをグリーン企業に向かわせ、グリーン投資を行いたい投資家が適切な企業を見つけられるようにすることにある」と言い切った。
国際会計基準(IFRS)財団の担当者は、今後の統合報告のあり方について、3つの展開が考えられると話した。それは、① 国際会計基準審議会(IASB)とISSBの共同プロジェクトの実施②ISSBとIASBは緩やかなプロセスで統合③一時停止しているマネジメント・コメンタリー・プロジェクトの再開――だ。