三井住友信託銀行はアジアの金融機関として初めて、海運業界のCO2排出量規制を融資基準に反映させる「ポセイドン原則」に加盟した。同原則は、2050年までにCO2排出量を50%削減(2008年比)するという国際海事機関(IMO)の目標に基づき、金融機関が評価し、実行を促す国際イニシアティブだ。同行は18行目の加盟となる。(オルタナ編集部=吉田広子、池田真隆)
IMOの調査によると、2012 年のCO2排出量は約8億トンに上る。国土交通省の資料では、これは世界全体のCO2 総排出量の約 2.2%を占め、ドイツ1国分の排出量に匹敵するという。世界の海上輸送需要は増加傾向にあり、国際海運からのCO2 排出量はさらに増加することが予測されている。
こうしたなか、IMOは2018年4月、国際海運の船舶由来のCO2排出量を2050年までに50%削減(2008年比)することを発表した。これを受け、シティグループやソシエテ・ジェネラル、INGなど国際的金融機関11行は2019年6月、「ポセイドン原則」を立ち上げた。環境影響評価、説明責任、実施、透明性の4原則を掲げ、船舶の情報開示を進め、CO2排出量の削減に向けた取り組みの実行を促す。
三井住友信託銀行はこれまで、大規模な開発プロジェクトの環境や社会的な影響を評価する「エクエーター(赤道)原則」に署名したり、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に賛同したりするなど、気候変動リスクマネジメントに取り組んできた。
ポセイドン原則への加盟にあたり、同行は半年ほどかけて議論を重ねてきたという。
三井住友信託銀行経営企画部フェロー役員を務める金井司チーフ・サステナビリティ・オフィサーは「当行全体でサステナビリティへの取り組みを強化している。今回は融資セクションが自発的に判断して、ポセイドン原則に署名した。署名したことは時代の流れに沿っている」と話した。
今後、融資先のCO2排出量を測定し、基準に対して燃費効率は良いのか悪いのかなどを検証していく。計測した結果は情報開示し、透明性を高めていくという。同行は「船舶のCO2排出量半減」という高い目標に向かって、技術革新が進むように後押ししていく考えだ。