書評)『キロワットアワー・イズ・マネー』――エネルギーは地域通貨に

このエントリーをはてなブックマークに追加

『キロワットアワー・イズ・マネー』(いしずえ出版)(1410円+消費税)

日本の地方都市は、今後人口が減り、産業が下火となっていくだろう。そんな自治体の将来に、一筋の光を与えているのが『キロワットアワー・イズ・マネー――エネルギーが地域通貨になる日、日本は蘇る』(いしずえ出版)だ。ドイツ・フライブルク在住の都市計画・環境ジャーナリストの村上敦さんが、「エネルギーで村興し」など独自論を展開。ドイツの具体例をあげて、市町村の発展にヒントを与えている。

例えば、ドイツにある人口430人のエネルギー自立村では、以前は電力や熱をよそから買っていたが、村民7割が参加して共同体をつくり、コジェネレーションを設置した。それにより熱と電気を地元で生み出し、熱を自給しながら、電力を売るようになった。燃料は地元の木材を利用。さまざまな形で雇用が生まれた。これまで外に逃げていたお金が地域内で循環するようになったのだ。

ドイツでは補助金を出して建物に断熱を施す「省エネリフォーム」が進められ、暖房費が最大8割削減できる。リフォーム工事は雇用を生み、省エネによりエネルギーコストが削減できるという最善の状況となっている。

フライブルクなど小さな自治体の議員はみな別に本業があり、会議は夕方から開かれるのもドイツならでは。手当は月数万円だから、議員はほぼ名誉職である。政治とはやる気のある優秀な人材が、自ら率先して行うもの。日本でも大いに参考になるのではないだろうか。

本書の購入には、インターネットではなく、地元の書店で買うことを勧めているのもユニークだ。書店に置いていなければ、注文しなければならない。注文して後に取りに行くとなると、手間も時間もかかってしまう。だが、お金は地元に落ち、回りまわって自分のところに返ってくる。お金の流れを変えること、地元にお金を落とす構造にすることが、雇用創造と地域活性化につながるのだ。(ドイツ・ハノーバー=田口理穂)

村上敦さんのブログ
http://blog.livedoor.jp/murakamiatsushi/archives/51736034.html

2012年12月10日(月)11:56

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑