編集長コラム) 「ソーシャル・パワー」が日本を変える

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私たちが雑誌「オルタナ」を創刊して、まもなく6年になろうとしています。その間、主に企業の環境・CSR活動や、NGO/NPOの活動、第一次産業などの取材を続けてきました。そして、これまでの6年間の取材を通じて、確信したことがあります。

それは、大企業であれ、中堅企業であれ、「社会を良くしたい」という思いと行動こそが、組織を伸ばし、企業価値を高める--ということです。

残念ながら、いまの日本には、このチカラが弱い。しかし光明もあります。「ソーシャル」や「グリーン」の価値観で会社を動かす、一部の経営者たちなのです。一部の若者たちも、ソーシャルやグリーンに目覚め、動き始めています。

こうした流れがより多くの企業に広がれば、国や社会がもう一度活気付き、豊かな社会を次世代に残すことができると確信しています。

私たちは、このようなチカラを「ソーシャル・パワー」と名づけました。

ソーシャル・パワーには三つの要素があります。具体的には
1)社会を少しでも良くしようという市民のパワー(市民、生活者、NPO)
2)利他的であり、社会に貢献するビジネスのパワー(経営者や企業人)
3)こうした企業や団体を応援する社会のパワー(行政、教育機関、金融機関、その他社会全体)--の三つです。

特に企業は、社会との対話や協働を通じて、企業価値やブランド価値を高め、これによって、より長期にわたる存続が「確かなもの」になるのです。縮小する国内市場で生き残るためにも、ソーシャルな活動が必須でしょう。

いまの日本には、「ソーシャル・パワー」の萌芽がたくさんあります。だが、一つ一つのビジネスは緒に就いたばかりです。これらが相乗的なうねりをつくることで、社会も活性化し、ひいては国の成長を押し上げることになるのです。

これを増幅するのが、ソーシャル・メディアです。企業が、その社会的な活動によって、フェイスブックの「いいね!」やツイッターのリツイートをたくさん得ることは、「未来の顧客」をつくることに他なりません。

このようなプラスのスパイラルをつくることを、企業の経営者も理解し、本業に生かしていくことが重要です。

ピーター・F・ドラッカー(1909~2005)は、「経済的な目的は、企業が社会的責任を免除されるべきことを意味しない。逆に、企業にとっての利益の追求が、自動的に社会的責任の遂行を意味しなければならない」と指摘しました。企業の経済的な目的は、社会的な目的と統合されるべきなのです。

明治期の実業家、渋沢栄一(1840-1931)は「個人を利すると共に国家社会も利する事業なるや否なやを知ること」が重要であると述べています(渋沢栄一伝記資料「青淵百話」)。

渋沢栄一の玄孫である渋沢健さん(コモンズ投信会長)は、これを「個人も社会も儲かるビジネスかどうかを見極めよう」と現代語に訳しています(「渋沢栄一100の訓言」)。

これらのことは、経営の世界ではある意味で当たり前であり、古ぼけた知識に属すのかもしれません。しかし、これまで20年以上にわたる経済低迷を続けてきた日本においては、この低迷から抜け出す唯一の手段が、「ソーシャル・パワー」であると考えます。

20年前に比べて、日本の経済社会はチカラを失っています。2007年をピークに日本の人口は減少に転じ、所得格差や貧困などの社会問題も顕在化してきました。

これからの超高齢化社会をどのように生き抜くのか。あるいは出生率を上げ、日本の人口を維持していくのか。

その国の将来に希望が持てなくなると、出生率が下がると言います。そして国家や社会が衰退していきます。これを食い止めるためにも、「ソーシャル・パワー」が必要です。

そして、ソーシャル・パワーの中でも、企業がビジネスを通じて、社会的課題を解決することが最も大きなエンジンになるのです。

企業規模の大小や業種は問いません。最近では「社会起業家」と呼ばれる若者たちの企業も目立ってきました。社会全体としても、彼らを支援していきたいものです。

これからの10年で、日本はこの「ソーシャル・パワー」を活用して、社会的課題を次々と解決していかないと、私たちの国は本当に沈没してしまう可能性もあります。

弊社「オルタナ」は、さまざまな企業や団体とも連携し、「ソーシャル・パワー」を鼓舞していく考えです。オルタナが主宰する全国団体「グリーン経営者フォーラム」の加盟各社のお力も借りながら、この運動を進めていきます。

これにより、「日本に生まれて良かった」と誰しもが再び思えるような国や社会作りを目指していきたいと考えます。今後の「ソーシャル・パワー」の活動にご期待下さい。

(オルタナ編集長 森 摂)

2013年1月2日(水)3:02

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