温暖化対策、「野心の引き上げ」が課題

WWFジャパン、気候ネットワークなどNPO10団体は11日、日比谷図書文化館(東京・千代田)で国連の気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)の報告会を開いた。難産の末に京都議定書第2約束期間のスケジュールを決定でき「一進一退を繰り返しながら、着実に前進している」と評価する声があった。一方、第2約束期間の不参加を表明した日本に対し、早期参加を求める意見も出た。

COP18は12年11月末~12月初め、中東カタールの首都ドーハで開かれた。途上国が短縮を求めた第2約束期間は、先進国の主張通りに13年~20年に設定された。すべての国が参加する20年からの新たな排出削減の枠組み(ポスト京都)作りの計画も決まった。

COP18での新たな枠組み作りをめぐる議論を気候ネットワークの平田仁子さんは「まだまだ序の口でしかない」と振り返った。新たな枠組みは15年のCOP21で合意する計画は決まっているが、法的拘束力を持った議定書にするのかどうかなど、骨格すら決まっていない。

各国が現在の削減目標を達成しても、深刻な温暖化被害を防ぐのに必要な削減量とは程遠い。新たな枠組み作りでは「(高い削減目標を設定するための)野心の引き上げ」(平田さん)が大きな課題だ。

資金援助を交渉条件に途上国が議論を主導する場面が目立つようになってきた。今後の交渉でも途上国と先進国の意見対立が予想され、多くの国が集まって決めるCOPの限界説が出ている。

しかし「地球環境と大気汚染を考える全国市民会議」の早川光俊専務理事は「着実に前進している。すべての国が参加するのがいいだろう。非効率だが、気候変動はすべての国に影響するからCOPは必要」と解説した。

第2約束期間に参加せず13年からの削減義務がない日本に対し、気候ネットワークの浅岡美恵さんは「早く京都議定書に復帰してほしい」と訴えた。

かつて日本は国際的競争力のある技術と途上国に援助する資金力があったが「いま技術と資金が危うくなっている。だからこそ政策があってほしい」と強調。政策とは第2約束期間に加わり排出削減の目標を持つことだ。

報告会の質疑応答では第2約束期間への不参加によって民間企業が海外で実施する自然エネルギー導入などの排出削減事業も「やりにくくなる」といった指摘も出た。(橋木公)

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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