国産のオーガニック製品、欧州で本格デビュー

世界最大のオーガニック専門見本市である「ビオファ2013」がドイツのニュールンベルグメッセで2月13日から16日まで開催された。日本も「ジャパンパビリオン」(ジェトロ主催)として初の本格出展となった。(文・写真=ロハス・ビジネス・アライアンス 大和田順子)

世界各国から4万人以上の人が訪れる(C)NuernbergMesse / Thomas Geiger

ビオファは今年で24回目を迎える有機認証されたオーガニック製品に特化した展示会。世界86カ国・地域から2396社が出展している。ちなみに昨年の来場者数は130カ国・地域からの40315人だった。

欧州のオーガニック市場は2000年代前半から堅調に成長してきた。ドイツでは2001年に有機農産物であることを示す「BIOマーク」が導入され一般の小売店でも販売されるようになり、2010年には2000年比で約2.5倍に市場が拡大した。今では全農産物総売上高の5%を超えている。

今年初出展となる日本パビリオンは約330平方メートルの規模。有機味噌・清酒・茶など加工食品をはじめ、オーガニックコットン製品、入浴剤など、中小企業18社・3団体(1都2府15県、団体関連企業数と合わせて全36社・団体)が参加し、欧州市場への足がかりをつかもう、あるいは拡大しようと熱心に商談やプレゼンテ―ションを行っている。

今回初出展の日本パビリオン

味噌や清酒など発酵食品は日本の得意領域だが、外国産の有機原料を使用した味噌メーカーでは最大手の「ひかり味噌」(長野県諏訪市)、宮城を代表する酒蔵「一ノ蔵」(大崎市)など。また、お茶は老舗日本茶専門店「一保堂茶舗」(京都市)など9社。オーガニックコットンの「アバンティ」や福島県いわき市でオーガニックコットンの栽培・製品化を通じて復興に取り組むNPO法人「ザ・ピープル」などの顔ぶれだ。

宮城県大崎市のふゆみずたんぼで作られたササニシキから醸された純米酒。炊きたてのササニシキと純米酒の試飲(一ノ蔵)

今回のパビリオン出展は「アバンティ」(東京・新宿)の渡邊智恵子社長の呼びかけで実現した。「ジャパンスタンダードの基準は高い。10年以上ビオファを見てきたが、もっと品質の良いメイドインジャパンのオーガニック製品を海外に出していく時期が到来した」と渡邊社長。

また、長年にわたりマクロビオティックの普及啓発、食材の販売・卸を行う「むそう商事」(大阪市)はビオファの草創期から出展してきた企業だ。岡田征剛社長は「こうして日本のパビリオンができたことは大変嬉しい。最低でも3年、できれば5年は継続して出展し、欧州における日本のオーガニック食品の地盤を固めたい」と言う。

被災地からは福島県いわき市のNPO法人「ザ・ピープル」も出展している。同団体では、農地の復興ということで昨年5月から市内15カ所、1.5ヘクタールでオーガニックコットンの栽培に取り組んできた。栽培を応援している企業や個人などボランティアは1000人を超えた。

ビオファでは初めて収穫したコットンの綿を使用したマスコット人形や、人気アニメNARUTOをプリントしたTシャツ(試作品)を披露している。なお、このTシャツはいわきや国内で収穫されたオーガニックコットンとアメリカから輸入したコットンを混紡し、国内で製品化し、6月頃発売になるという。

NARUTOは海外でも大人気のキャラクター(ザ・ピープル)

各国のブースのビジュアルプレゼンテーションは圧巻だ。国のシンボルカラーをベースに、自国を代表する自然、畑・果樹園、生産者の顔、食文化などが大きく表現されている。その上で出展している各社がそれぞれの製品の特徴や、調理法などを競っている。デザイン性に優れ、しかも美味しい。

一方、初参加の日本パビリオンは大人しい印象だ。来年度は日本の有機農産物を育んでいる豊かな森、水、大地、美しい農村景観の写真なども是非使用しプロモーションすることが期待される。

お国柄が表れるブースの演出。写真はペルーのブース
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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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