今回、最優秀賞を受賞したのは「三ツ石かまど用アタッチメント『Hoitto!』」だ。このプロダクトは煙突の付いた素焼きの覆いである。途上国でよく使われる「三ツ石かまど」にかぶせることで、燃焼効率を高め、排煙を容易にすることができる。
3つの石の中心で焚き火をする「三ツ石かまど」は途上国で一般的だが、この方式は火力が弱く、煙が八方に充満するので、調理を担う女性への健康被害が大きい。調理煙による死者は、全世界で毎年200万人近いとされている。これはマラリアによる死者を越える数字だ。
途上国向けの安価コンロは多くの製品が提案されているが、東ティモールでは、文化的・宗教的な理由もあり、なかなか普及が進んでいなかった。「Hoitto!」は、「三ツ石かまど」の利用を否定せずに健康被害を減らし、調理効率を向上させる展が評価された。
審査員を務めた日本ポリグル株式会社会長の小田兼利氏は、全体講評で、「現地の文化と寄り添って仕事を創るという提案が多く見受けられた。これはBOPビジネスを進める上で大切なことである」と話した。
1月18日には、株式会社アイ・シー・ネットが主催する「40億人のためのビジネスアイデアコンテスト」が六本木で開催される。こちらも、日本のテクノロジーを途上国で活かす斬新なアイデアが、多く提案されている。
年間所得が3000ドル(約31万円)のBOP層は、世界に40億人いるとされている。社会課題の解決は、巨大なビジネスチャンスなのだ。