企業トップ自らジェンダー平等の推進を【ダイバーシティとジェンダー】

大西祥世
グローバル・コンパクト研究センター研究員
このエントリーをはてなブックマークに追加

CSRmonthly_oonishi
大西 祥世(グローバル・コンパクト研究センター研究員)

今号からは、女性のエンパワメント原則(WEPs)の7つの原則に沿って、企業の取り組みの具体例をご紹介します。

WEPsは、トップがリーダーシップをとって、その企業が女性のエンパワメントに取り組むことを重視しています。

帝人(大阪市)は、2010年にWEPsに署名したことをきっかけに、女性の活躍のための制度作り取り組みをそれまで以上に推進しています。同社は、1990年代に役員層が、欧米企業が女性役員・管理職を急増させている状況を目の当たりにして「グローバル企業に成長するには女性の活躍が不可欠」と判断しました。トップのリーダーシップで、女性の活躍促進とダイバーシティを推進してきました。

具体的には、2001年から職員採用の女性比率30%を目標とし、毎年ほぼ達成しています。「女性管理職3倍増計画」(2002年度比)を設定し、2011年に4倍(79人)に達しました。2011年からは、管理職が後継者を育成する際に、女性もその候補者に指名する仕組みを導入しています。

帝人は、こうした女性のエンパワメントの取り組みを「見える化」してさらに進め、女性の管理職を160人(当初の8倍、全体の7%)にすることを目指しています。

もう一つの好例がアパレル事業を展開するクロスカンパニー(岡山市)です。ここでもトップが、「女性の活用が企業の発展につながる」というビジョンを持っています。販売員を含む全社員約2300人が正社員で、9割以上は女性です。2007年からトップのリーダーシップで本格的に女性の雇用適正化と働き続けるための支援制度の充実に取り組んでいます。同社は、2012年にWEPsに署名しました。

2011年からは、育児・介護を理由とする女性従業員の短時間正社員制度を導入。社員は勤務時間を4時間、6時間、8時間の中から選び、一時的に短時間勤務を選んだ社員も、その後、長時間に変更してキャリアアップを目指すことができます。

他方、2006年までは女性管理職の比率が高かったものの、「管理職には男性を」という意見もあり2008年以降、男性役員が増加しました。しかし、人事考課の基準を変え、能力のある女性の昇進を提案する仕組みを導入した結果、女性管理職の割合は4割に回復しています。同社は、トップの強い意思によるこうした取り組みにより、業績も上がり、取材や企業見学・実践報告の依頼なども集まっています。

ページ: 1 2

大西祥世
グローバル・コンパクト研究センター研究員
博士(法学)専門は憲法、ジェンダーと法・政策。主著に『女性と憲法の構造』(信山社、2006 年)『ポジティブ・アクションによる女性のエンパワメントと平等推進―国連グローバル・コンパクトの新たなチャレンジ』(法學志林109 巻1 号、2011 年)『グローバル化における企業の公法上の位置づけ』(公法研究74 号、2012 年)など。

2014年6月24日(火)14:34

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑