多様なレベルで議論重ねイノベーション創出を【企業と社会の関係】

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム(JFBS)事務局長)

学会「企業と社会フォーラム」(JFBS)は、2012年9月20~21日の2日間にわたり、早稲田大学において「持続可能な発展とイノベーション」を統一テーマとした第2回年次大会を開催しました。

経済・環境・社会の持続可能な発展に取り組んでいくにあたって、イノベーションの重要性は増しています。イノベーションは、新技術・新素材などの開発にかかわる科学技術上のテーマというだけでなく、新しい社会システムや制度の構築・再編成にかかわるソーシャル・イノベーションも重要な課題となっています。

イノベーションについては、政府による支援・振興政策から、産業レベル、個々の組織におけるマネジメント、さらに企業とNPOなど多様な組織間での協働関係に関する議論など、その領域は幅広いものがあります。

イノベーションの創出に当たっては、クローズドからオープン化、ローカル/グローバル化、そしてフラット化へと変化してきました。それに伴い、ステイクホルダーとの関係性も重要なテーマとなってきています。

企業レベルでは、1)持続可能性にかかわる諸課題をどのように新しいビジネスモデルや技術に組み込むか。2)グリーン・イノベーションやソーシャル・イノベーションが生み出す環境的・社会的成果と同時に、それらをどのように国際的な競争力につなげるか。3)ソーシャル・イノベーションはどのように創出され、広がっていくか――などを議論することも重要なテーマです。

本大会のキーノートスピーカーには、スキーマビジネススクール(フランス)からダニエル・シュベール教授を迎え、「知識経済社会におけるイノベーションのための持続可能なアプローチ」をテーマにお話し頂きました。

いま求められているイノベーションとリーダーシップ

産業社会から知識経済社会への移行に伴い、1)イノベーションの概念が変化してきていること。2)様々な属性・背景を持つ多様な「個人」が持てる知識をもって協業することにより、新たな価値を共創するスタイルが見られるようになっていること。3)ステイクホルダーへの意識喚起と関わりづくりが重要であり、そのため教育が果たす役割は大きいこと――などが指摘されました。

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齊藤 紀子(企業と社会フォーラム事務局)

原子力分野の国際基準等策定機関、外資系教育機関などを経て、ソーシャル・ビジネスやCSR 活動の支援・普及啓発業務に従事したのち、現職。一橋大学大学院社会学研究科修士課程修了、千葉商科大学人間社会学部准教授。

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