楽天のCSRアクションの一つ「楽天IT学校」では、インターネット・ショッピングモール「楽天市場」の店舗運営ノウハウを高校生向けにアレンジした電子商取引の授業を、全国各地の高校で実施している。マーケティングや開発を担当する楽天社員と地元の「楽天市場」出店者、「楽天トラベル」登録施設が協働して講師役を務め、ネット販売まで実践する授業だ。「電子商取引」の科目は2013年に商業科の指導要領に登場した。授業を通じてインターネットの可能性を知り、ビジネスに対する感性を磨くことを目指す。(フリーライター・今一生)
2008年の開校から、これまでに52校が参加してきた。楽天市場の出店店舗のページを間借りして販売ページを作るので実際に購買ができる。トラベル版は宿泊施設の特別プランを企画する。売上は店舗や施設に入る。
この学校で学んだ高校生たちは翌年に東京で開催される「楽天IT学校甲子園」にエントリーでき、上位3校は表彰される。
昨年度の優勝校は下関商業高校(山口県)の情報処理科。2年生30人で「地元ふぐの魅力をプロデュース」をプレゼンして優勝した。今年度は全25校×26店舗・施設で全7回の授業が予定され、既に6月から第1回の授業が始まっている。
楽天CSR部で楽天IT学校を担当する黒沼篤氏は、7年目の成果をこう話す。
「昨年の参加高校は15校。今年はこれまでの最多になりました。また、楽天市場の4万店以上の店舗から年間のベストショップを決定する『楽天ショップ・オブ・ザ・イヤー』を受賞した店舗がたくさん参加してくれています」
「生徒たちは、授業を通じて売上の経過や顧客の反応などフィードバックを受けます。ネットショップは年末に需要が一気に高まるので、その結果を受けた年明けに『楽天IT学校甲子園』に出場してもらいます。そこで人に納得してもらう表現力を学ぶ点で成長が見えます。高校教師の方々も弊社のような企業や地元の企業と年間を通して関わることが増え、我々も地域に根ざすことができます」
2013年度から施行された新学習指導要領では、商業科で新科目「電子商取引」が登場。楽天IT学校を経て、出店店舗の会社に就職した例も出てきた。
「この取り組みを通じて若者の起業家精神を育て、世界における日本の競争力を上げるのに貢献したい」(黒沼氏)
楽天IT学校への高校の参画は、商業科に限らず応募できる。
◆楽天IT学校
http://corp.rakuten.co.jp/csr/activities/education/it-school/