統合レポートの発行に備えて【CSRコミュニケーションのこれから】

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2つ目は、「ツール体系の再整理」です。統合報告は、とにかく合冊化することにとらわれがちですが、その前提として大切なのはターゲットと目的の明確化です。例えば、曙ブレーキ工業(東京・中央)はCSRレポートとアニュアルレポートを合冊化し、環境・社会活動の情報から業績報告・財務諸表などの財務情報まで網羅した「AKEBONO REPORT」を発行しています。

これに対して、TOTOは会社案内とCSRレポート、そし
てアニュアルレポートの要素を含んだ「コーポレートレポート」を発行するとともに、商品紹介も掲載した「TOTO のご案内」、財務情報やESGのパフォーマンスデータを掲載した「財務・ESG セクション」を補完ツールとして発行しています。

統合レポートの先駆けとして知られる2社ですが、それぞれのツール体系は大きく異なります。ステークホルダーとのコンタクトポイントはどこにあるのか、メインターゲットは誰なのか、目的は何かを検討した上で、それぞれの業種や業態に応じたツール体系を構築していることが伺えます。闇雲に着手するのではなく、ツール体系の全体最適化の視点から情報発信を再設計することが肝心です。

3つ目は、「制作委員会の編成」です。前述したツール体系の再整理にも関連しますが、統合レポートを発行する際には、広報、IR、CSR、環境、社会貢献など関連部署との調整や連携が必要となることは自明です。「他社ではどの部署が主幹となって進める場合が多いか?」といったご質問を受けることがありますが、まさにケースバイケースの状況です。投資家がターゲットという理由からIR 部門が主幹となる場合もあれば、リーダーシップのあるキーマン(役員の方など)が中心となって牽引する場合もあります。企業によって様々な制作委員会の形がありますが、いずれにしても企業の方向性を舵取りする経営企画などの部門が深く関与し、推進することが望ましいと思われます。

統合レポートの発行にあたっては、いざ走り出す前にこれら3つのことを検討し、備えておくとスムーズに進めることができるはずです。

【ふじぬま・まさし】IR、CSR のコミュニケーション支援に携わり、とくにBtoB 企業におけるコーポレートコミュニケーション支援を得意とする。また、ウェブサイトを活用したコミュニケーション支援も強みとし、あらゆるステークホルダーとの戦略的なリレーション構築をトータルに支援している。

(この記事は株式会社オルタナが発行する「CSRmonthly」第6号(2013年3月5日発行)から転載しました)

藤沼 将史氏の連載は毎月発行のCSR担当者向けのニュースレター「CSRmonthly」でお読みいただけます。詳しくはこちら

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2014年7月23日(水)15:18

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