編集長コラム) 赤いリンゴと校長先生と日立製作所

このエントリーをはてなブックマークに追加

五農高の佐藤校長は、五所川原で農業を中心とした地域活性化に心血を注ぐ、地元のキーパーソンの一人だ。2012年に「五所川原6次産業化推進協議会」を立ち上げ、五農高のほか、地域の生産者、農協、津軽鉄道、日立製作所や行政、大学をつないだ。

リンゴやコメのほか、コメ粉メン、みそドーナツ、ぶどう酢のドリンク「酢チューベン酢」などを地元企業と共同開発し、津軽鉄道の駅で販売する試みも始まった。

佐藤校長が進めるのは、「就農就労型6次産業」だ。過疎が進む農村地域で雇用を生み出し、地域を活性化する。五農高から食糧供給産業を生み出し、環境保全と市民の健康を考える「環境健康研究センター」を目指している。

来年早々には新会社を設立し、ここで五農高と日立製作所ががっぷり四つに組む。すでに登録制ウェブサイトをつくり、生徒たちの課題研究や、レシピ開発、ITと農業の連携などを進めている。

ウェブサイトには生産者ら約100人と生徒492人、職員90人が参加し、情報を交換する。これで親近感を持ってもらい、ファンを広げていく。今後は、マーケティングや商品開発、さらには農産物の直接購入もできるようにする。(「五農高アグリコミュニティサイト」はこちら

プロジェクトを進める中で、日立製作所側からライブカメラのアイデアが出た。五農高の敷地内にある水田やリンゴ園、野菜畑や花のビニールハウスにライブカメラを置き、いつでも様子が分かるようにした。定点観測によって、気象データの蓄積や生産技術の共有ができるようになった。

日立製作所側のリーダーは、情報・通信グループ・社会イノベーション事業開発室の川上裕二主任技師(54)。川上氏の専門は金融システムで、もともとは農業とはまったく縁がないキャリアだった。

新分野開発のきっかけはリーマンショック。「金融市場のシステムはほぼ出来上がった。金融の次を考えると、地域通貨の可能性は十分あるが、日本では地域でモノとお金がまだ地域内で循環していない」。「そこで、どうすれば地産地消できるかを考え、農業に行き着いた」という。

五所川原の産品を売り出すルートを探したところ、有機農産物の販売で名高いスーパーの福島屋(東京都羽村市、福島由一社長)に行き着き、取り扱いの了承を得た。

ページ: 1 2 3

2014年12月1日(月)15:30

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑